生後数ヶ月の頃に家に迎えたかわいいペット。ついこの間離乳したばかりで、行動もまだおぼつかないと思っていた子でもあっという間に大きくなって、いつの間にか大人になってしまいます。
今回は犬や猫の性成熟についてお話していきましょう。
性成熟とは
赤ちゃんだったペットが成長し、オスは精巣、メスは卵巣から性ホルモンを放出するような成熟した状態のことを性成熟といいます。
特にオスは自分の縄張りを意識するようになり、縄張り内に入ろうとする同種のオスを力ずくで追い払おうとするようになります。
また犬の場合、マウンティングといい、飼い主さんの足や同居しているペットの上に乗っかって腰を振るような動作がみられるようになることがあります。
性ホルモンについて
繁殖に関係のある臓器は、オスの場合は精巣、メスの場合は卵巣ですが、性成熟に達するとそれぞれから性ホルモンと呼ばれるものが体内に放出されるようになります。精巣から分泌される精巣ホルモンは筋肉を成長させたり、精子を作る働きがあります。
また、卵巣からは卵胞ホルモン、黄体ホルモンといった性ホルモンが分泌され、卵子を作ったり乳腺を発達させたりといった働きがあります。そしてそれぞれのホルモンが分泌されることによって発情が始まります。
犬の発情期に見られる行動
メス犬が初めて発情期を迎えるのは、小型犬で生後6~10ヶ月、中~大型犬で生後8~14ヵ月といわれています。小さな犬は比較的早く、大型犬ほど性成熟は遅いという傾向がありますが、栄養や生活環境によっても変わるため個体差があるようです。その後は約半年ごとにみられるようになりますが、スタートする季節はさまざまです。
メスの発情期はヒートともいわれますが、その期間は2~3週間続き、外陰部が腫れてから10日くらいで少量の出血が見られ、その後排卵が起こって交配適期(子どもが作られやすい時期)となります。期間中はなんとなく興奮して落ち着きがなくなったり、やたらと飼い主さんに甘えるようになります。おしっこの回数が増えたり、神経質になって食欲が落ちることもあります。
オスの場合は、実は明確な発情期がなく、発情中のメスのおしっこに含まれるフェロモンに誘発されて興奮、発情します。発情したメスを必死に追いかけるようになったり、オス同士でケンカになることもあります。
猫の発情期に見られる行動
メス猫の性成熟は通常、生後6~8ヶ月頃といわれていますが、ラグドールやノルウェージャン・フォレスト・キャットなどの大型品種はやや遅く、生後1年以降であることが多いようです。そしてメス猫の発情は日照時間と関連があるといわれています。日照時間が長くなってくると発情がはじまるのです。最近では室内のみで生活する猫も増えましたが、春になると発情期を迎えるといわれるのはそのせいです。一旦始まると1~3週間ほど継続します。犬のように出血はみられませんが、普段聞いたことがないような甲高い声で鳴くようになったり、お腹を見せて寝転がって体をくねくねさせてみたり、妙に甘えるようになります。背中をなでて手が腰のほうになると、お尻を突き上げて足踏みをするような独特の行動が見られるようにもなります。
犬と同じように猫も、オスメスどちらもフェロモンに誘発されて発情を迎え、縄張り意識が強くなり、大きな声で鳴きながらあちこちにスプレーと呼ばれる霧状のおしっこをかけて歩き回るようになります。性格も攻撃的になり、ほかのオスと取っ組み合いのけんかをしたり、飼い主さんの手を噛みついたりするようになることもあります。
発情期と避妊・去勢手術
このように、発情期がくるたびにペットは精神的にも肉体的にもハイになって消耗してしまいます。そのため、ペットに子どもを産ませる予定がなければ、これらのストレスを緩和するためにも避妊去勢手術を行うことがすすめられます。
避妊去勢手術はほとんどの場合、1歳未満の頃に行います。最近は初めての発情を迎える前に避妊手術をして性ホルモンを抑制してしまったほうが、高齢になったときの乳腺癌の発生率が低くなるということが分かったことから、生後4~6ヶ月ほどで避妊手術をする病院も増えてきました。
まとめ
ペットが性成熟を迎えると、これまで築いてきた飼い主さんとの関係よりも本能のほうが勝ってしまうことがあります。いつもと様子が違うペットに対しても、冷静に落ち着いた対応を心がけましょう。
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