ペットが足を痛がり動物病院へ連れて行くと、「レントゲンを撮って調べてみましょう」と言われることがあります。
このように、動物も人と同じ検査をすることがあります。 では、レントゲンを撮ると、いったいどんなことが分かるのでしょうか?
今回は、レントゲン検査についてお話をしていきたいと思います。
レントゲン検査の仕組み
X(エックス)線という放射線の1種は、体を通過しやすい性質があり、その通過する度合いは体の厚みや臓器の比重によって異なります。X線の量によってフィルムの感光度(フィルムが黒くなる度合い)が変わるため、フィルム上に体の内部の構造が映し出される、という仕組みがレントゲン検査です。そのため、X線検査(レントゲン写真・X線写真)と呼ばれることもあります。
レントゲンではどのように写るのか
レントゲン検査ではX線が多くあたったフィルムは黒くなり、逆に少ない場所は白くなります。つまり、X線を通しやすい空気がたくさんある部分がもっとも黒くなり、脂肪、水、肉、骨の順番でX線が通りにくく、白く写ります。
たとえば、金属や石などを飲み込んでしまったら、これらはX線をほとんど通さないため、フィルム上では真っ白に写ります。
胸のレントゲンを撮ってみると、空気がたくさん入って黒っぽく写っている肺の真ん中に、心臓が白っぽく見えます。
また、お腹のレントゲン検査では、全体的に白っぽくもやもやと見える中に、脂肪に包まれた腎臓や腸の中のガス、おしっこ(水)の溜まった膀胱などを見ることができます。
基本的に臓器はシルエットとして見られるため、中身(たとえば中に液体が詰まっているのか、固体が詰まっているのかなど)はあまりわかりません。ただし膀胱内の結石のように、はっきりとX線を遮断するものがある場合は確認することができます。
レントゲン検査が必要な場合
レントゲン検査は臓器や構造物の位置、大きさ、形などの変化を確認するときに用いられます。
具体的には、
・骨折や脱臼、関節炎などの骨の病気を疑うとき
・誤食など、体の中に異物が入っていることを疑うとき
・肺炎や気管支炎など、呼吸器の病気の程度を知りたいとき
・心臓が大きくなっていたり変形していないかどうかを調べるとき
・膀胱結石や腎臓結石を疑うとき
・肝臓や腎臓など腹部の臓器が大きくなっていたり変形していないかどうかを調べるとき
・出産直前に胎児の大きさを調べるとき
・歯の治療を行なうとき
などです。
そのほかにも、胃や腸の中を調べるためのバリウム検査や血管走行を調べるための血管造影検査もレントゲン検査のひとつです。
造影検査とは?
造影検査とは、消化管や血管に造影剤と呼ばれる物質を入れて、臓器の輪郭や動きを見やすくするレントゲン検査の一つです。
たとえば胃の中に大きな腫瘍があった場合、普通のレントゲンでは胃内部の出っ張りを見ることができませんが、バリウム造影剤を飲んで撮影すると、白く写るバリウムが腫瘍の部分を避けて通過するため、胃内部の輪郭を知ることができるのです。また、腸管は通常はっきりと見ることができませんが、バリウムの動きに合わせて何枚も撮影することによって、そのつながりや流れを見ることができます。
レントゲン検査には多少の我慢が必要
レントゲン検査は写真と同じなので、もし撮影する瞬間に体が動いてしまったら、画像がぶれてしまう場合があります。また、レントゲン検査のためにはペットに仰向けになってもらったり、手を伸ばしたままでいてもらうようなこともあります。そのため、じっとしていることのできない、暴れてしまうペットは検査ができない場合があります。
レントゲンの安全性
X線は放射線の1種なので、レントゲン室の壁は放射線を通さないようになっており、放射線を通さない特殊なガウンを着たスタッフがペットにつきそい、おうちの人は通常はレントゲン室の外で待っていてもらうことになります。
ただし、ペットの検査に使われるX線は非常に微量のため、数枚撮影することに対してあまり不安に思う必要はありません。日常生活でも私たちは日々、宇宙からや自然界に存在する放射線を浴びているのですが、ペットの胸部レントゲン撮影では、自然界で1年間浴びる量の約1/50ともいわれています。
まとめ
レントゲン検査は特に緊張しやすいペットにとっては若干の負担がかかる検査ではありますが、病気の発見や経過の観察には大変重要で、欠かせない検査です。
そのため、ペット自身の負担を減らすためや健康をしっかり守るためにも、普段から診察や検査を我慢できる子にしておきたいものですね。
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