フレンチブルドッグについて

大きな耳とつぶれた鼻、笑っているように見える大きな口を持つフレンチブルドッグは近年、ぶさかわな犬として人気が高まっています。

表情豊かな顔つきやコロコロとした体型から、TVや企業のマスコットとして今やマスコミでもひっぱりだこですが、日本では比較的新しい犬種のため、その歴史や飼い方についてはまだまだよく知られていないのが現状です。

今回は、そんなフレンチブルドッグについてお話をしていきましょう。


歴史

フレンチブルドッグはその名前の通り、ブルドッグをベースに作られました。ブルドッグはもともとイギリスで雄牛(ブル)と戦うために作られた闘犬です。牛に蹴られないように重心を低く、一度噛み付いたら離れないようにがっしりとした顎とつぶれた鼻に作られたのですが、そのブルドッグの中でも小型のものが19世紀にフランスに持ち込まれ、パグやテリアなどの品種と交配して作られたといわれています。ネズミを駆除したり、ペットとして可愛がる目的で改良されたために、ブルドッグよりも軽く小型で、明るく温和な性格を獲得しました。


特徴

フレンチブルドッグのっもっとも目立つ特徴といえば、その大きな耳でしょう。左右に大きく開き、幅が広く先端が丸くなっている形がコウモリ(バット)が羽を広げているのに似ていることから、バットイヤーと呼ばれています。頭は四角くてがっしりとしており、短い手足や広い胸幅、つぶれた鼻などはブルドッグに似ていますが、ブルドッグよりも小さく動きも軽快です。体重は雄雌ともに10キロをやや超えるくらいで、横から見たときに縦と横の比率がほぼ同じくらいのコンパクトなつくりをしています。

性格は明るく、表情豊かですが、無駄吠えをすることはめったにありません。


フレンチブルドッグは暑さが苦手!?

フレンチブルドッグに限らず、鼻ペチャの短頭種は鼻の穴が中で折れ曲がって狭くなっているため、呼吸によって体温を発散しなければならない夏はとても苦手です。さらにそんな短頭種は軟口蓋下垂といって、上顎から喉に垂れ下がっている部分が必要以上に大きく、この部分が気管の入り口を塞いでしまうため、余計に呼吸がしづらいことが知られています。フレンチブルドッグでいびきをかきやすい子が多いのはこのためです。

体内の熱を上手に発散することができないため夏には体調を崩しやすく、航空会社などでは夏のお預かりをお断りしているほどです。暑い時にはエアコンなどで空調管理をしっかりと行い、お散歩も朝晩の涼しい時に行くなどの注意が必要です。


運動は苦手!?

フレンチブルドッグは身軽でおうちの中ではちょこちょことよく動き回りますが、あまり多くの運動量を必要としません。先ほどお話したように、体温が上昇するほど運動をするとすぐに息が上がってしまうため、お散歩も気晴らし程度で大丈夫といわれています。トレーニングというよりも、知的好奇心を満足させるためのお散歩と考えてあげたほうがよさそうです。

また、フレンチブルドッグは一般的に泳ぐことができないといわれています。そのため、川や海といった水辺に連れて行くときには十分に気をつけてあげましょう。


太りやすい体質

フレンチブルドッグはとても食欲旺盛です。何でもよく食べてくれるのはいいことですが、そのせいで肥満になりやすいとも言われています。もともと体に幅があり、がっしりとした体型なので、太っているかどうかが分かりづらいかもしれませんが、体を上からみたときに、ウエスト部分がややくびれているか、胸を触ったときに肋骨を触ることができるかどうかを定期的にチェックしましょう。ちょっとあやしいな、と思ったらその都度体重を量ってみるのもよい方法です。

もしも、食欲がありすぎて食べても食べても欲しがって太ってしまうという場合には、カロリーを控えめにしたダイエット用のフードに切り替えるのも一つの方法です。


皮膚病には要注意!

フレンチブルドッグは全身の毛が短くお手入れは簡単だと思われるかもしれません。しかし、短い毛は抜けやすく、その下の皮膚は意外とデリケートです。そのため、皮膚炎などになりやすいので、体は常に清潔にすることを心がけましょう。毎日お散歩から帰った後はよく絞ったタオルで全身をくまなく拭いてあげるといいでしょう。特に足の指の間や顔のしわの部分は汚れがたまりやすい場所なので、丁寧に拭いてあげる必要があります。

大きな耳の中も汚れがたまりやすいので、外耳炎や中耳炎になりやすいといわれています。定期的に耳掃除を行うようにしましょう。もし自分で行う自信がなければ、ペットサロンや動物病院に頼んで行ってもらいましょう。


まとめ

鼻ペチャの犬は、犬好きの方のなかでも好き嫌いが分かれるところではありますが、フレンチブルドッグの愛想のよさ、ちょっと不器用なしぐさ、表情豊かな顔つきで今後ますます人気を呼ぶことでしょう。

純血種の犬を飼う時には、必ずその犬種の性格やなりやすい病気、体質などについて理解し、確かに自分に合っているかどうかを確認してからおうちに迎えるようにしましょう。 

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