オスとメスでは身体的な構造の違いがあるように、もともとの性質や性格に違いがあるようです。
今回は、犬に注目して、性別によって考えられる性格の違いや、それぞれのなりやすい病気についてお話したいと思います。
オス犬とメス犬の性格の違い
人と比べると、犬はオスとメスにおける身体的な差は多くはありません。一般論としては同じ犬種の場合、どちらかというとオスのほうがメスに比べて体格が大きい傾向があり、性格はオスのほうが活発で縄張り争いによる攻撃性があるという考えが一般的です。しかしこれは、メスが攻撃的ではなくいつも穏やかであるという訳ではありません。むしろ、どちらかというとメスの方が警戒心が強く、気が強い傾向があります。またメスの方が比較的早い時期に性格が落ち着くといわれています。
しかし、人では「十人十色」といわれるように、同じ犬種でも「十犬十色」というような性格にはそれぞれ個体差があります。 犬種によっての本来の性質はもちろん影響がありますが、生後数ヶ月間の生活環境や接し方が特に犬の性格に大きな影響を及ぼすといわれています。
オス犬とメス犬の決定的な違い
オス犬では見られない生理的変化として特徴的なのが、メス犬の発情時の出血が挙げられます。この出血は人の生理(月経)に相当する出血とは意味合いが異なります。人は出産のために用意していた子宮内膜が不必要となった際に剥離されることによって出血をしますが、犬の場合は子宮内膜の剥離ではなく、ホルモン(エストロジェン)の影響で子宮内膜が充血することによって染み出た結果として出血をします。
このように、メスは性周期によって体内のホルモンバランスが大きく変動する点もオスとの違いとして挙げられます。当然ですが、妊娠するかどうかという点もオスとメスの決定的な違いです。
オス犬とメス犬で異なるかかりやすい病気
人医療においても病気の発症率に男女比がある病気、あるいは発症率が同じでも男女間で臨床的に症状が違う場合があります。犬でもこれは同じで、オス犬に多い病気やメス犬に多い病気が存在します。
オス犬とメス犬のかかりやすい病気として、まずは前述したようにオスとメスでは決定的な違いとして生殖器があげられるため、オス特有の病気やメス特有の病気がいくつかあります。オス犬では前立腺や精巣に関わる病気(会陰ヘルニアや肛門周囲腺腫も前立腺や男性ホルモンに関与しているといわれています)や、メス犬では子宮や乳腺に関わる病気(子宮蓄膿症や乳腺腫瘍など)が挙げられます。
また、そのほかにもオス犬では心臓病や整形疾患、尿道閉塞などがメス犬に比べて多い傾向にあり、メス犬では膀胱炎や、特に未避妊のメス犬においては糖尿病やアジソン病(副腎皮質機能低下症)などがオス犬に比べて多いという統計結果がでています。
オスとメス、どちらが長生き?
過去の調査によると、犬の寿命はオスが12歳、メスが11.9歳とほぼ同じだったのに対し、猫の寿命はオスが13.7歳、メスが14.8歳とメスの方が長生きだったという結果があります。獣医療技術の発達、ペットフードの普及や予防獣医学の浸透、飼い主さんのペットに対する意識の向上などにより、昔と比べるとペットも高齢化が進行しているのが現状です。
また、残念ながら、統計学的には大型犬は小型犬より寿命が短い傾向にあり、肥満傾向あるいは室外飼育の動物はそうでない動物に比べ寿命が短い傾向があります。老化は人も動物も必ず訪れます。少しずつ始まる老化現象に補完的となる日頃の健康管理が大変重要です。
まとめ
オス犬とメス犬の違いについてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。犬をこれから飼おうとお考えの方へお伝えしたいことは、ご家庭の飼育環境にあった犬種、あるいは生理的特徴を踏まえたうえで性別を選択するようにしていただきたいということです。
どちらを選んだとしても、愛情と責任感を持って共に生活することで、飼い主さんが犬から得られる幸福感や、癒し効果やリラックス効果は絶大な力があると思います。犬にとっても人間にとってもお互いが楽しく幸せな日々を送れるといいですね。
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