飼い主さんの横にぴったりとついて、歩幅を合わせてスマートに歩く犬はとても素敵ですよね。飼い主さんの左側の横にくっついて歩くことは、「ついて(つけ)」「ヒール」などとの言葉で言い表されますが、これは単にお行儀の問題ではなく、安全にお散歩をするために大切なしつけの一つです。今回は、「ついて」の教え方についてお話をします。
「ついて」が必要な理由
お散歩のとき、もし犬がリードを引っ張って飼い主さんの前をぐいぐいと歩いたり、飼い主さんのことを無視して好き勝手なことをしていたら、その子は飼い主さんのいうことを聞かない犬と思われるだけでなく、ほかのお散歩中の犬や通行する人とトラブルを招いたり、バイクや鳥を追いかけて事故につながったりすることもあるかもしれません。さらに、「ついて」をしながらお散歩をすることで、お散歩中のマーキング防止や拾い食い防止としても有効です。
「ついて」の教え方
まずは家の中で犬が自由にしている状態から「ついて」を教えていきましょう。最初、犬が大好きなおやつやおもちゃを手に持った状態で鬼ごっこをします。犬が興味を持って左側の横にくっついて歩いてきたら、すかさずおやつやおもちゃをあげてよく褒めます。人の左側について歩くといいことがあると教えていくのです。そして、だんだん左側について追いかけてくるようになったら、そのときに言葉で「ついて」と言って、人の左側で歩調を合わせて歩くことが「ついて」という意味であるということを教えます。さらに「ついて」と言いながら方向転換をしたり後退をしてみて、それでも付いて来ることができるか確認します。
ある程度ついてができるようになったら、今度はお散歩中に「ついて」といってみましょう。あらかじめリードは短めに持ち、飼い主さんが行く先を決めて歩くようにします。はじめのうちは壁のあるところで、人と壁の間に犬を挟んだ状態で行ったほうが簡単です。犬が飼い主さんのことに集中しながら、リードを緩めて横を歩くようになったら、歩きながらよく褒めます。
「ついて」からお座りへ
ついてとヒールは同じように捉える場合もありますが、ついてが人の横について歩くのに対して、ヒールは人の横にぴったり座ることと解釈する場合もあります。ヒールの理想は、飼い主さんの足先と犬の前足が横並びにぴったりと揃うことですが、そこまでできなくてもついてができるようになったら、続けてお座りをさせる練習もしてみましょう。はじめはリードを使って誘導しながら、なるべく人の近くにお座りができるようにがんばってみましょう。
「ついて」を覚えるとできること
「ついて」ができるようになれば、行儀のよい散歩ができるようになるばかりではなく、さまざまなシーンで応用することができます。たとえば、狭い歩道でほかの犬とすれ違うときでも「ついて」ができれば、トラブルが起きにくくなります。またドッグランで自由に遊ばせているときでも「ついて」で簡単に呼び戻しをすることができるでしょう。
さらに、K9フリースタイルやトリックといった、ちょっと高度な犬と楽しめるゲームを行うこともできるようにもなります。
まとめ
「ついて」は犬に必要なしつけのなかでも、集中力を必要とするちょっと難しいしつけです。「ついて」を散歩中ずっと続けさせるのは、犬にとって非常に困難なことです。散歩中は、犬もいろいろなものを見たり嗅いだり、飼い主さんと楽しい時間を過ごしたいと思っています。すべてのしつけは「飼い主さんのいうことを聞いていると楽しい!」という犬の気持ちから始まります。短時間でも「ついて」という言葉を理解したら、おもいっきり褒めて、散歩を一緒に楽しみながらしつけをしていきましょう。
0コメント