猫を飼ったことがない人でも、『ネコにマタタビ』という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。言葉通り、猫はマタタビを食べたり匂いを嗅いだりすることで興奮状態になり、体をくねらせながら寝転んだり、普段とは違う一面を見せる子が多くいます。
その反応見たさについあげたくなってしまいますが、与え方や量を間違えると健康に害が出る可能性があるため、注意が必要です。
今回は、猫がマタタビに興奮する理由や、与える際の注意点についてお話します。
マタタビとは
マタタビ(学名:Actinidia polygama)とは、山地に自生する蔓性落葉低木(ツルで他の木に巻きつく植物)で、昔から人も漢方薬として利用してきたことで有名です。利尿作用や血行促進、強壮作用があると言われており、痛風や神経痛リウマチにも効果があるようです。また、マタタビの花は山菜としておひたしや炒め物に、又茎や葉は乾燥させ入浴剤としても利用されてきました。
昔、長旅の疲労で疲れた旅人がマタタビの果実を食べたところ元気が出て、「また、旅ができる」ようになったことから「マタタビ」と言われるようになったという説が由来として有力のようです。
なぜ猫はマタタビに興奮するのか
「猫にマタタビ」とよく聞きますが、ではなぜ猫はマタタビが好物なのでしょう。猫にマタタビを与えると酔っ払ったように興奮作用(マタタビ反応)を示し、独特の反応(マタタビ踊り)を示します。猫によってその反応はさまざまですが、一種の陶酔状態を起こして興奮するようです。
現在では大阪市立大学の 目(さかん)教授グループの研究によって、「マタタビラクトン」と「アクチニジン」という2つの成分が猫の中枢神経を麻痺させ、性的快感を覚えさせるということ、また、マタタビの葉や茎、果実に含まれる「マタタビラクトン」や「アクチニジン」は猫科動物の大脳、脊髄、延髄を麻痺させ陶酔状態にさせることがわかっています。
マタタビの成分が揮発性で常に発散しているため、動物は遠くからでもマタタビがある場所がわかるということが明らかになっています。猫科動物のライオンや虎なども本能的にマタタビを求めて集まると言われています。
キウイでも同様の効果
中国原産のキウイフルーツはマタタビと同じサルナシ科(マタタビ科)に属します。そのため、野生のキウイフルーツの木の根などは、猫にマタタビと同じ効果を与えます。
田舎のキウイ畑で根を掘り返す作業をすると近くの猫たちが何十匹も集まり、あちこちでゴロゴロ・クネクネし始めるそうです。しかし市販されているキウイフルーツは品種改良されているため「マタタビ効果」の期待は薄いかもしれません。個体差はありますが、市販でも熟したキウイには反応する猫もいます。
マタタビの与え方
マタタビは猫の万病の薬としても知られており、元気が無く食欲も無いときなど猫にマタタビを与えると元気になるといわれています。
病気には木天寥(もくてんりょう)の粉末をフードに混ぜて与えると良いと言われています。市販品は粉末が一般的ですが、小枝状のものからおもちゃや爪とぎに含まれているものなどさまざまなものがあります。
猫がイライラしていていたり言う事を聞かない時は小枝状のものでストレス発散を、逆に元気がない時や食欲がない時などには粉末タイプのものをフードに少量かけてみるなど、用途に合わせて使い分けましょう。爪とぎやベッドを新調した際にマタタビを少量ふりかけておくと、気に入って使ってくれることが多いようです。
マタタビを与える際の注意点
あまり多量に与えると呼吸麻痺を起こして死亡することもあるといわれているので、注意が必要です。特にシニアの子や心臓に疾患がある子の場合は負担がかかるため、控えたほうが良いでしょう。健康な子でもときどき与えるご褒美程度にし、様子を見ながら少量ずつ与えることが大切です。毎日与えると効果が薄れるとも言われています。
反応には個体差がある
個体差はありますが、雌よりも雄の方が反応しやすいといわれています。しかし子猫や子ライオンなどは興味を示しません。去勢手術を受けた猫の一部もあまり興味を示さないので、ある程度成熟した猫に対しての媚薬効果だと言えます。マタタビの効果には個体差があるので、まったく反応を示さない猫もいることは覚えておきましょう。
おわりに
猫を飼っている人なら、愛猫がマタタビにどんな反応をするのか見てみたいですよね。「反応が良いから」または「あまり反応しないから」といってたくさん与え過ぎないように注意しましょう。また、猫は鼻が良いため保管場所には十分注意し、猫が勝手に出して食べ過ぎてしまったということがないよう、気を付ける必要があります。
頻度や量に気をつけながら、愛猫とのコミュニケーションのために上手にマタタビを活用してくださいね!
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