猫の感情を表す『ボディランゲージ』とは?

犬は『嬉しいときや興奮したときにしっぽを振る』『怖いときはしっぽを股の間に入れる』など、犬のボディーランゲージはさほど犬好きでない人にも有名ですが、猫はどんな風に感情表現しているかご存知ですか?

今回は、猫のボディーランゲージについてお話します。


猫の感情を最も表現する部位は?

猫のボディー・ランゲージを知っていると、感情を推測することができ、次の行動を予測することができます。特に猫のしっぽは 「心の指標」として機能し、しっぽの位置と動きで猫の精神状態を洞察することができます。

基本的にしっぽがピクピクと動いている猫は怒っていると勘違いされやすいですが、実は反対で興奮あるいは好奇心を示しています。毛が逆立っていない限り、垂直に立った尻尾は好意的な状態であることを表しています。猫が示す最も大きな愛情のジェスチャーかもしれません。例えばあなたが一日留守にして帰宅した時、猫はしっぽを真っ直ぐに立てピクピクと動かしすりよって来たら、それは『嬉しい』という気持ちを表し甘えているのです。


猫の心理を解釈する方法

注)100%ではありませんが、ある程度の目安として参考にしてください。

● しっぽが緩やかに下向きで、先端が曲がっている ➡ リラックスして快適と感じている

● しっぽがわずかに上がって、軽く曲がっている ➡ 何かに興味を持ち始めている

● しっぽが直立しているが、先端が傾いている ➡ 非常に関心があって、好意的である

しっぽが完全に直立していて、さらに先端も垂直 ➡ 好意的で、喜んで挨拶している

しっぽが直立しており、先端がゆるやかにピクピクしている ➡ 愛情、興奮、好奇心を示す

しっぽはじっとしているが、先端が時々ピクッと動かす ➡ 少しイライラしているか、考え事をしている

しっぽは動いていないが、先端が激しくピクピクとして動かす ➡ 非常にイライラしている

しっぽが広い円弧を描きながら勢いよく振っている ➡ 感情が高まっている、または攻撃性を示す

しっぽが直立しており、毛が完全に逆立っている ➡ 攻撃性を示す

しっぽがアーチ形に曲げられて、毛も逆立っている ➡ 攻撃する可能性

しっぽが完全に下ろされて、後足の間にしまっている ➡ 敗北か服従を示す

しっぽが垂直で一方に曲がっており、腰をかがめている ➡ 仲間になる準備

しっぽが半分位の位置で端から端までゆっくり動かす ➡ 少し関心がある

しっぽが低く、先端がピクっと動く:ストーキング(※)を示す

(※)ストーキング:雄猫が雌猫を追い続けたり、ネズミなどの獲物をハンティングする狩猟行為を指します。


しっぽ以外の感情表現

猫のボディー・ランゲージは、しっぽだけでなく耳の動き、瞳孔の大きさ、まぶたの動きなどが複雑に関係します。

【耳】猫の耳の動きはしっぽの動きと関連付けて評価するとより詳しく猫の心理状態を把握できるかもしれません。人間より優れた聴覚を利用して微妙な音源に対しても耳を立てて敏感に反応し、怒りや闘争心を剥き出しにしている場合は耳を伏せます。

【体】背中をアーチ形に曲げたり、毛を逆立てる時は防御的威嚇を表現しており、恐怖を感じて攻撃性を示しています。

【目】光の下でも瞳孔が大きく開いているならば、緑内障や甲状腺機能亢進症などの基礎疾患がなければ、痛みがあるか闘う準備ができているか、あるいは逃走を計画しているかが考えられます。

また、ゆっくりまばたきをする時はリラックスしている合図で、信頼または信用の表れでもあります。例え猫が眠たくて睡魔と闘っているとしても、居眠りができるほど信頼しているということです。


おわりに

マンクスやジャパニーズ・ボブテールのような短尾の猫は、これらの微妙な尻尾の動きから猫の感情を汲み取ることは難しいかもしれませんが、短尾猫自身は動かしている“つもり”だと考えてもいいかもしれません。

猫のボディー・ランゲージを知ることは、愛猫と「心の会話」ができるということなので、これまで以上に猫との生活を楽しめるかもしれませんね。

言葉に代わる情報伝達手段として、猫の感情表現方法を理解することにより、病気の早期発見や微妙な心理的変化の判断の一助となれば幸いです。

ペットクリニック.com

獣医師発信のペット情報サイト