鳥インフルエンザってどんな病気?人や動物への感染は?

ここ数年、よく「鳥インフルエンザ」に関するニュースを耳にするようになり、流行期には鳥インフルエンザが確認されたことによるニワトリの殺処分のニュースも報道されるようになりました。「鳥」と名前がつきますが、海外では猫にも感染したという報告もあるため、鳥を飼っている方以外でも不安になる方は多いのではないでしょうjか。

今回は、「鳥インフルエンザ」がどんな病気なのか、人や動物への感染についてお話します。


鳥インフルエンザとは?

鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスが引き起こす鳥の病気です。鳥に感染するA型インフルエンザウイルスをまとめて鳥インフルエンザウイルスといいます。

家畜伝染病予防法では、鳥インフルエンザを病原性やウイルスの型によって、「高病原性鳥インフルエンザ」、「低病原性鳥インフルエンザ」などに区別しています。

養鶏場などで高病原性鳥インフルエンザが発生すると、その多くが死んでしまいます。一方、低病原性鳥インフルエンザが発生すると、症状が出ない場合もあれば、咳や粗い呼吸などの軽い呼吸器症状が出たり産卵率が下がったりする場合もあります。

どちらの場合も発症が確認されると家畜伝染病予防法により発生した養鶏場で飼育されているニワトリの殺処分が義務付けられています。感染していない鶏まで殺処分の対象となってしまうため心が痛みますが、1羽1羽検査しているとウイルスが蔓延して被害が拡大してしまう恐れがあるため、全羽殺処分し消毒を徹底することが義務付けられています。


人への感染は?

日本ではこれまで鶏肉や玉子を食べたことによる鳥インフルエンザ感染の例は報告されていません。ですが、鳥インフルエンザにかかった鳥の羽や粉末状になったフンを吸い込んだり、その鳥のフンや内臓に触れてウイルスに汚染された手から鼻へウイルスが入るなど、人の体内に大量のウイルスが入ってしまった場合に、ごくまれに感染することが報告されています。

なお、海外では、人から人へ感染したことが疑われる事例が報告されています。患者の世話をした家族が感染するなど、ある程度の期間、密接に患者と接触したことによる感染と考えられています。

日本では、この病気にかかったニワトリの処分や施設等の消毒などを徹底的に行っているので、通常の生活では病気の鳥と接触したり、フンを吸い込んだりするようなことはほとんどありません。そのため、人が鳥インフルエンザにかかる可能性はきわめて低いと考えられますが、もしも鳥インフルエンザに感染している鳥、感染が疑われる鳥と接触した後に、突然の高熱や咳、全身のだるさ、筋肉痛などインフルエンザを疑う症状が現れたら、近くの保健所に相談し、前もって医師に連絡を入れてから診てもらいましょう。


鳥を飼っている人への注意点

国内で鳥インフルエンザが発生したからといって、直ちに家庭等で飼っている鳥が感染するということはありませんが、以下のことに気をつけましょう。

✔ 鳥インフルエンザウイルスを運んでくる可能性がある野鳥が近くに来ないようにする

✔ 鳥を飼っている場所はこまめに掃除し、フンはすぐ片付ける

✔ エサや水はこまめに取り替える

✔ 鳥の体やフンに触れた後は、手洗いとうがいをする

✔ 口移しでエサをあげない


これらは、鳥インフルエンザウイルス以外の、鳥が持っているかもしれないウイルスや細菌、寄生虫から自分の身を守ることにもつながります。


鳥インフルエンザは猫や人にうつる?

海外では鳥インフルエンザに感染した鳥を猫が食べたことにより、その猫にも感染することが確認されています。猫が鳥インフルエンザに感染すると、人間の場合と同じような症状が出ます。発熱、喉の痛み、筋肉痛、肺炎、呼吸困難、そして生命に危険を及ぼす可能性もあります。

猫から猫への感染は、糞、尿、および分泌物が気道を通して感染すると考えられています。複数頭飼育している場合は、注意が必要です。

猫から人への感染も同じような経路が考えられますが、かなり多量のウイルスを取り込まないと発症しないと考えられているため、極端に恐れる心配はないでしょう。


予防法はある?

今のところ鳥インフルエンザに対する猫へのワクチンはありません。一番の予防法は「完全室内飼いを徹底すること」で、鳥との接触の機会を無くすことです。人間は鳥インフルエンザが発症した場所へ行かないこと(靴の裏にウイルスがつくと広めてしまうため)、手洗いうがいと消毒の徹底で防げるでしょう。


おわりに

鳥は空を飛ぶため野鳥からの感染を防ぐことは難しく、また一度広まると養鶏場の全羽を殺処分しなくてはならなくなったりと、被害が大きくなる厄介な感染症です。必要以上に怖がる必要はありませんが、自分が感染を広めてしまわないよう、手洗いなどの基本的な感染予防を行うよう心がけましょう。そして鳥の糞を踏んだ際には靴の裏の消毒をしたり、死んだ野鳥を見かけたら触らずに保健所に連絡するようにしてください。