クリッカーを使ったしつけ方法


愛犬を褒めたとき、きちんと飼い主側の気持ちが愛犬に伝わっていると思いますか?
愛犬が首をかしげたりしていませんか?

犬は、人間の声のトーンを聞き分けたり表情を読み取ったりすることが出来るため、低い声で褒めても愛犬にとっては「飼い主さんに褒めてもらえた!」と受け取れない場合もあります。

そこで今回は、『クリッカー』を使ったしつけ方法についてお話したいと思います。


『クリッカー』とは?

クリッカーという道具の名前を聞いたことはありますか?クリッカーとは、愛犬を褒めるための道具です。クリッカーは、もともと人のコントロールが困難なイルカやゾウや馬などのしつけをする目的で作られました。

クリッカーにはいろいろなタイプがありますが、アルミ板の部分やボタンを押すと「カチン」という音がし、その音が褒めのサインとなります。

行動する瞬間に単音を発するので非常にわかりやすく、誰が行っても変わることがないので印象付けがしやすくなります。

また、「音=ご褒美」というように関連付けていくので愛犬が自ら考えて行動を起こすようになります。


クリッカーを使う理由

犬は、クリッカーを使わなくても飼い主さんから褒められたり、ご褒美をもらったりすることで、やって良いことと悪いことを学習していきます。ですが人間は、男性や女性、老人、子供によって声のトーンが異なるため、愛犬もそれぞれのトーンを聞き分けるのは困難です。

例えば、声のトーンが低い男性が愛犬を褒めていたとしても愛犬には伝わらず、逆に怒られたと思っているかもしれません。そんな場合にクリッカーを使うと飼い主さんが何を褒めたのか愛犬に明確に伝えることが出来るのです。


クリッカーを鳴らすタイミング

愛犬が正しい行動をとった瞬間を見逃さずに、クリッカーをタイミング良く鳴らします。

例えば、所定のトイレの場所で排泄が上手くでき、飼い主さんは褒めたつもりなのに、実際ご褒美を与えたのはトイレの外だった。ということになってしまうと、愛犬はトイレで排泄に成功したことを褒められたのではなく、トイレから出て、飼い主さんの所に行った行為を褒めてくれたのだと思っているかもしれません。

トイレの成功を褒めるときは、排泄が終わった時に鳴らすと良いでしょう。
そしてすぐにおやつ(ご褒美)を与えます。


クリッカートレーニングの方法

おやつの袋からおやつを出そうとすると、ガサガサと音がしますよね。するとそのうち、ガサガサと音が鳴ったら愛犬が足元で待っていたりしませんか?クリッカートレーニングはこれと同じ原理です。

では、実際にクリッカートレーニングの方法をご説明します。


1、 クリッカーの音に慣らす

まず、ご褒美のフードや小さく切ったおやつをいろんな場所に置きます。
そして、愛犬がそのフードやおやつを口に入れた瞬間にクリッカーを鳴らします。

この時に使用するおやつは『大好物』を避けてください。なぜかと言うと、レベルアップして難しい事が出来た時に最高のご褒美をあげるようにして欲しいからです。そうして、おやつにもバリエーションをつけて与えるようにすると、トレーニングを楽しくやってくれます。

ですので、ここで使用するご褒美はいつも食べているフードを使うのがベストです。


2、 少しずつ成功体験を重ねる

「おすわり」や「伏せ」などの指示をして、上手に出来たらクリッカーを1回鳴らします。
その1~2秒後にフードまたはおやつをあげてください。

音に慣れれば徐々にレベルアップすることも出来るかもしれません。ですが、失敗したら必ず一つ前に出来た事をやらせ、成功した状態でトレーニングを終わりにするようにしましょう。

もしも愛犬がクリッカーの音を恐がった場合は、ポケットにクリッカーを入れてポケットの中で「カチン」と何回か鳴らしてみましょう。

そして、徐々に音に慣れてきたらご褒美を手に取りクリッカーをポケットから出して、「カチン」と鳴らして1~2秒後にそのご褒美を飼い主さんの手から与えます。

これを何回か行なうと、「カチン(の音)」=「褒められた」と認識できます。


■クリッカーを使う際のポイント

①常にクリッカーを先に鳴らし、フードやおやつは後に与える

多少ご褒美を与えるタイミングがずれてしまっても、クリッカーが正しい行動をとった瞬間に鳴っていれば問題ありません。ただし、鳴らした後は必ずご褒美を与えるようにしましょう。

②クリッカーを鳴らすのは1回だけ

クリッカーを何度も鳴らしてしまうと、愛犬はどの音に意味があったのか理解出来なくなってしまいます。

③愛犬の気を引くためにクリッカーを鳴らさない

愛犬を呼んだり、愛犬が関心をもっているものから気をそらそうとしてクリッカーを鳴らすと、飼い主さんから離れている事や、物を探すという行動が褒められていると勘違いし、その行動が強化されてしまうことがあります。

④トレーニング時間は短く

短い時間に集中してトレーニングするようにしましょう。トレーニングを長く行ってしまうと愛犬が飽きてしまい、クリッカートレーニングそのものが楽しいものではなくなってしまう可能性が出てしまいます。


クリッカートレーニングの注意点

①「急にできなくなることがある」ということを理解する

犬は、環境の変化で今までは出来ていたことが急に出来なくなってしまうことがあります。ですので、失敗が続く用なら最初に教えた方法に戻して成功したらそこで終わらせるようしてあげましょう。失敗ばかりで終わってしまうと愛犬が自信を失ってしまいます。

②トレーニングは楽しく行なう

飼い主さんがトレーニングに対してイライラしてきてしまったら、すぐにトレーニングを終わりにしましょう。トレーニングは愛犬も飼い主さんも楽しく・根気よく続けてこそ意味があります


おわりに

飼い主さんの声で褒めることでも、飼い主さんの気持ちは愛犬へ伝わることでしょう。しかし、より確実に飼い主さんの気持ちを愛犬に伝えるための道具として、クリッカーを使用すると「カチン」=「褒められた」という認識がしやすくなると思います。

クリッカートレーニングで、愛犬とのコミュニケーションがもっと円滑に取れるようになると素敵ですね!