「犬は嬉しい時にしっぽを振る」というのはほとんどの方がご存知かと思います。
でも、「ウー、ワンワンッ!」とどう見ても嬉しそうな顔はせずに、唸り声をあげながらしっぽを振っているのを見たことはありませんか?実は犬は嬉しくない時でもしっぽを振ることがあるのです。
今回は犬のボディランゲージについてお話します。
犬の気持ちは全身を見て読みとる
ボディランゲージとはまさに体全体で感情や意思を表現しています。体の一部、たとえばしっぽだけを見て「しっぽを振っているから喜んでいるんだろう」と判断するのは間違いのもとです。犬は緊張や警戒の気持ちがあるときでもしっぽを水平にしてすばやく振ることがあります。また、攻撃をしようとするときもしっぽを立ててゆっくりと振る場合があります。あくまで全身の状態や動き、顔の表情をよく見て犬の気持ちを汲み取ることが大事です。
では犬の気持ちを具体例を挙げて説明しましょう。
【とても喜んでいる / 嬉しいとき】
しっぽは高く上げ、お尻ごと振ります。耳はやや伏せ気味で目も細めています。片時もじっとしていられず、身をかがめて、もっと近づいたらお腹を見せて寝っころがってしまうかもしれません。なかにはニヤッと少しだけ唇を持ち上げて歯を見せる子もいるようですが、これは人の笑顔を真似ていると言われています。
【遊びに誘っているとき】
腰はあげたまま上半身を勢いよくかがめて、お辞儀のような姿勢をとります。この状態から相手の下にもぐりこんだり、お腹を見せるようにひっくり返って、飛びかかってくるのを誘うこともあります。前足で地面を叩くようなしぐさをしたり、おもちゃを持ってきて目の前に置くこともあります。さらには気を引くために一声「ウワン!」と鳴くこともあります。
【警戒しているとき】
何かに警戒しているとき、耳はそちらのほうに向けています。頭を高くもたげて視界を広く取り、足はしっかりと踏ん張ります。しっぽはピンと立て、小刻みに振っていることもあります。
【威嚇 / 攻撃のシグナル】
本気で攻撃をしようとするとき、鼻にしわが寄るほど上唇を持ち上げて武器となる牙を見せつけます。目を見開いてにらみつけ、上半身をややかがめて、いつでも飛びかかれる体勢をとります。背中の毛を逆立てて出来るだけ全身を大きく見せようとします。しっぽは斜め下向きになってゆっくりと振られていることが多いようです。
【威嚇 / けん制】
怒ってはいるものの「相手のほうがちょっと強そうだな」と、やや弱気になっているとき、口は「にー」と言っているような口の端を後ろに引いたような形になります。耳も後ろに倒し、腰も低くなります。しっぽは股の間に隠すことが多いです。
【反省しているとき】
叱られた時は「わかったからもう興奮しないで」と伝える手段として目をそらし大きなあくびをします。決して不真面目なのではありません。そして、服従の気持ちを示すために体を低くして伏せの形をとります。その気持ちがもっと強くなるとお腹を見せて仰向けになり、お腹を露出します。時にはちょっとおもらしをしてしまうこともあります。
【緊張しているとき】
知らない場所に連れて行かれたり、初めて会う犬と対面して緊張や興奮を鎮めたい時、口をパクパクしたり、舌をぺろっと出したりします。また地面の匂いをかいだり、前足を片方だけ持ち上げたりして自分が緊張していることを相手に伝えようとします。
【感情が入り混じっているとき】
犬の気持ちは人が思うほど単純ではありません。「知らない人がおやつをくれようとしている。怖いけどちょっとだけ嬉しい」とか「誰かが近づいてきた。敵なのかな?優しい人かな?」というように、いくつかの感情が入り混じっているときがあります。そんなときボディランゲージもいくつかのサインが組み合わさっていることがあります。相反するボディランゲージが見られる場合にはその複雑な心境を察してあげましょう。
おわりに
犬がこれだけ人のパートナーとして広まった理由の一つに、感情がとても豊かであることが挙げられます。鳴き声と数多くのボディランゲージを使って常にたくさんのことを人に伝えようとしているのです。私たちがそれを正確に読み取ることができれば、もっともっと親しい関係になれるかもしれませんね。
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