犬や猫が冬に体を痒がっている様子を見ると「乾燥かな?」と思う方のほうが多いかもしれませんが、もしかしたらノミやマダニによる痒みかもしれません。
あまり気に留めずそのまま放置してしまうと、痒い部分を自分で何度も噛んでしまったり、皮膚がただれてしまい、どんどん悪化してしまう可能性があります。
また、ただ痒みをもたらすだけでなく、アレルギー反応を起こしたり、痒みによるストレスの原因にもなりますし、もし卵が孵って大量のノミ・マダニが寄生してしまうと、貧血や栄養障害を起こしてしまうこともあります。
そして何より怖いのが、マダニは死亡率の高い病気を媒介する寄生虫だということです。
しかし、これらの寄生虫は、予防薬(駆除剤)で早めに対処してあげることで、予防・駆除することができます。
そこで今回は、冬でも油断禁物なノミとマダニについてお話したいと思います。
ノミとマダニってどんな生き物?
ノミもマダニも外部寄生虫という、他の生き物の血を吸う虫です。ノミは昆虫の仲間ですが、マダニはどちらかというとクモに近い仲間です。
どちらも生命力がとても強く、屋外では主に草むらに隠れて犬や猫がやってくるのをじっと待っていて、通りかかるとすばやく飛びつくのです。
どうやって見つけるの?
犬や猫にノミがいるかどうかは、日々のブラッシングで分かることがあります。
ブラッシングしているときに、毛を掻き分けると根元のほうに黒い小さな粒々を発見したら、体にノミがいる可能性が大きいといえます。その黒い粒々はノミのフンです。
また、マダニはノミより少し大きく、あまり動き回らないので比較的簡単に見つけることができます。耳や目のまわり、あごのあたりなどの皮膚が柔らかい場所につきやすく、血を吸うと人間の小指の爪ほどの大きさに膨れるため、イボができたと思って動物病院へ行ったら、マダニだった…ということもあります。
ノミ・マダニの予防方法
一番効果的で確実なのは、動物病院で売られている動物用医薬品の駆虫剤を使用することです。一度使用すると駆虫・予防効果は約1か月持続します。毎月投与する日を決めて定期的に使用しましょう。
これらの駆虫薬は成虫を駆除するものや生まれた卵を孵化させない効果のあるもの、その両方の効果を備えたものなどいくつか種類があるので、迷う場合は動物病院に相談してみましょう。
ちなみにホームセンター等で売っているものは、いわゆる忌避効果を謳うものが多く、効果が一時的なものや弱いものがあるので、あまりお勧めはできません。
それ以外で気をつけることは、
① 日々のブラッシングで地肌の様子をチェックする
② ペットが使用しているベッドや毛布は定期的に洗い、清潔に保つ
③ 定期的に殺虫剤をたき、室内ごと消毒する
殺虫剤は、一度行ってから10~14日空けてから2回目を行うとさらに効果的です。
また、ひとつ注意しなければならないことがあります。
それは、もしノミを見つけても、指で潰してはいけません。なぜなら、メスの成虫は体の中に卵をたくさんもっているので、つぶしてしまうと卵が飛び散ってしまうことになるからです。
また、マダニの場合、吸着したマダニの腹部を指で摘まむと、マダニの体液成分が皮膚内に流入しやすくなるので、絶対に触らないようにしましょう。 吸着して3日以上が経過すると、マダニの口器が犬や猫の皮膚組織と固く接着しているため、除去が困難になります。 その場合、無理に引っ張ると、皮膚内に口器がちぎれて残ってしまいます。
どのくらいの期間、予防が必要?
ノミ・マダニは高温多湿の環境を好むため、春から夏が繁殖しやすい季節になります。
そうなると、冬は予防しなくても良いのではないかと思えます。
しかし、実は気温が13℃以上あれば活動を続ける事ができるのです。最近では地球温暖化の影響で冬でも気温が高い日があることや、エアコンなどによって家の中が一定温度以上に保たれているため、油断はできません。ノミ・マダニは冬でも繁殖することが可能なのです。ですので、徹底的にノミ・マダニを予防するためには、1年を通して投薬していただくことをお勧めします。
また、室内飼いの猫の場合でも動物病院やペットホテルを利用したり、他の動物が来る場所へ行った際に寄生されてしまうことがありますので、やはり油断は大敵です。
おわりに
実はノミ・マダニは人間にも寄生することがあります。登山やアウトドアでつけて帰ってきてしまい、愛犬・愛猫にうつしてしまったりするだけでなく、死亡例のある感染症『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』に感染してしまうこともあります。草むらやしげみに入る際には、素肌を露出しないように注意し、帰宅後はすぐに入浴をして全身を洗いましょう。
病気と違い、ノミ・マダニといった外部寄生虫は予防によって100%防げます。愛するペットたちを守るため、しっかり通年予防を行いましょう!
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