ペットのうんちやおしっこは健康管理において大切な情報源です。
健康診断のときにも、動物病院から「おうちでトイレをしたときのうんちとおしっこを持ってきてくださいね」と言われると思います。でも、いざ持っていこうとしても、どうやって取ったらよいのか、どのように持っていったらよいのか、悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はおうちでうんちやおしっこを採取するときのちょっとしたコツをお教えしましょう。
うんちの検査
動物病院では通常うんちの検査をする場合、はじめに肉眼で観察し、消化の状態、におい、硬さ、異物の有無などを確認します。そしてその後、2通りの方法で検査を行います。
まず直接法と呼ばれる、楊枝の先ほどの少量のうんちをプレパラートに乗せて顕微鏡で観察する方法です。うんちの中の微生物の種類や数、寄生虫の卵の有無を調べていきます。
もう1つの検査法は浮遊法と言って、指の先ほどのうんちを溶液に溶かして、上澄みを顕微鏡で調べる方法です。このほうが、未消化物が沈殿して寄生虫の卵を見やすくなります。
そのほかに特殊な検査として、うんちを染色して消化状態を調べたり、特殊なキットを用いて伝染病を特定することもありますが、どれも一回に使用する量はほんの少しです。
うんちの取り方
うんちの採取は、排泄したものをそのままつまんで容器に入れればよいので、比較的簡単だと思います。上記のように、検査には多くの量は必要ないため、すべてを持っていく必要はありません。親指の頭程度の量があれば十分です。直接手に触れないように注意しながらビニール袋越しに取り、使い捨ての紙コップやよく洗った小さなプラスチック容器に入れて、ラップなどをして持っていきましょう。本体をトイレットペーパーやティッシュなどでくるんでしまうと外観がわからなくなってしまう上に、紙の線維が検査の邪魔になることもあるため、なるべく使わないようにしましょう。
持参方法
寄生虫の卵や異常な細菌などは、乾燥してしまうと、その存在がわからなくなってしまうことがあります。そのため、採取したらなるべく早く動物病院へ持っていく必要があります。すぐに持っていくことができない場合でも、その日のうちには必ず検査をしてもらいましょう。通常は常温保存でも大丈夫ですが、一部の特殊な検査では冷蔵保存が必要な場合があるので、保存方法については動物病院によく聞いておきましょう。
おしっこの検査
おしっこは全身から出た老廃物のため、膀胱や腎臓といった泌尿器官の状態だけでなく、肝臓や糖尿病などの状態を知りたい場合にも使用します。たとえば、その色を見て出血や溶血、黄疸を推測したり、試験紙で尿の比重、pH、蛋白や糖、ウロビリノーゲンやビリルビンの有無を調べていきます。さらに、ペットにとても多い尿路結石症が疑われた場合は、試験管に入れたおしっこを遠心して結石の元となる結晶を沈殿させ、その存在を確認する場合もあります。
おしっこの取り方
尿検査には、試験管にある程度貯めることができるほどの量が必要になります。しかしペットは、紙コップなどに都合よくおしっこをしてくれないので、おしっこをとる場合にはちょっとしたコツが必要です。
犬でおしっこをペットシーツにするようにしつけられている子の場合は、ペットシーツを半分だけ折りたたんでおきます。ペットシーツの裏面は水分を吸い取らないため、そこに溜まったおしっこをスポイトなどで採取します。
また猫で猫砂が入ったトレイを使用している場合には、砂を極端に減らして砂が吸収しなかった部分を採取するか、砂の一部にラップをかぶせて、そこにおしっこをさせるという方法があります。犬でお散歩の途中に地面にしたものを採取する方もいらっしゃいますが、雑菌や異物が入りやすく、土の成分がおしっこに溶けて正確な検査をすることができない場合があります。おしっこはなるべく清潔な場所でしたものを採取して、きれいな容器に入れるようにしましょう。
おしっこの持参方法
おしっこは気温や周りの環境により成分が変わりやすいため、採取したものは一刻も早く検査をする必要があります。できれば病院であらかじめ採取用のスポンジやスポイトなどをもらっておき、それで採取したものをビニール袋に入れてすぐに持っていきましょう。動物病院で渡された検査用のスポンジ以外のもの、たとえばティッシュなどに染み込ませると、異物が入って検査結果に影響がでることもあるため、検査には使えない場合があります。お弁当のお醤油が入っていた小さな容器はスポイト代わりとして使うことができますが、必ずよく洗ってから使用しましょう。
まとめ
せっかく苦労して持って行ったのに採取法を間違えたり、時間が経過していたばかりに検査をすることができなかったらがっかりですよね。どうしてもおうちで取ることができない場合は、病院で採取することもできますが、大なり小なりペットに負担をかけることになってしまいます。
今回お伝えした方法を覚えていただき、おうちでもいろいろ工夫してスムーズに採取できるようになると、ペットへの負担も少なく検査を行うことができます。
次回の検査の時にはぜひ試してみてください。
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