母犬の妊娠中のケアについて

「愛犬が妊娠した場合、日頃の生活はどんなことに気をつけたらいいの?」

「食べ物はどうしたらいいの?」

「動物病院で検診を受けられるのは、いつから?」

など、今回は愛犬が妊娠したときに必要なことや注意点について、詳しくお伝えしていきます。


交配から1ヶ月目までのケア

交配から着床までの2週間は非常に不安定で、流産の可能性もあります。犬の場合、2週間を過ぎたころに安定期に入ります。

安産には体力が必要なので、お散歩に行く際はきつい高低差の昇り降りは避けるようにし、フリスビーやボール投げなどの激しい運動は控えましょう。安定期に入るまでの2週間は特に注意が必要な期間ですので、お散歩もいつもより少なめにしましょう。


1ヶ月から45日までのケア

妊娠1ヶ月目くらいまでは、ほとんど外見から妊娠の兆候は見られませんが、交配後1ヶ月を経過すれば、超音波検査で妊娠しているかどうかを確認することができます。超音波検査では胎児のおおよその成長を知ることができ、順調であれば元気な赤ちゃんの心臓の動きを見ることができます。

1ヶ月目で胎児は5cmくらいの大きさになります。交配後1ヶ月を過ぎると、母犬はようやく目立たなかったお腹が少しずつふっくらしてきます。乳首がピンク色になり、少し大きく目立つようになります。


食事

妊娠中は母犬から胎盤を通じて、胎児に栄養が与えられます。母犬が摂取した栄養分の一部が胎児の体を作るのに使われていきます。胎児が5cmくらいになると、胎児へ与えられる栄養はさらにどんどんと増えていきます。

この時期になると、フードの栄養分を増やす必要があります。体を作るのに必要な「たんぱく質」「カルシウム」「ビタミン類」などをメインに増やしていきますが、バランスよく増加させるために授乳期用のフード、もしくは子犬用のフードを与えると良いでしょう。ただし、急にフードを変更するとお腹を壊すことがあるので、35日目くらいから10日間くらいかけて徐々にいつもの食餌に加えていくようにします。

母犬は通常の1.5倍から2倍のカロリーを必要としますが、妊娠している子犬の数が少ない場合や日頃から太りぎみの犬は過保護にして太らせすぎてしまう可能性もあるので注意が必要です。母犬の状態を見ながら、動物病院の先生と相談して食餌量を調整しましょう。

お腹が膨らんでいるので、太りすぎなのか痩せすぎなのか、ご自宅ではなかなか判断しにくいかと思います。目安としては、背中の骨がうっすら触れるくらい、かつ、あばらが浮いて見えない程度が適正と考えると良いでしょう。


45日~55日のケア

この時期になると、子犬の骨にカルシウムが沈着して、胎児の頭蓋骨や骨盤などの骨格がレントゲンに映るようになります。

超音波検査は一度にお腹全体を見ることができないため、ベテランの獣医師でも胎児の数を数えるのは難しいのですが、レントゲン検査は一度にお腹の写真を撮るので全体的に観察して頭数を確認することに向いています。

事前に頭数の確認をしておくことで、いざ出産を迎えた際に、途中でも残りが何頭なのかが分かります。母犬がお産の途中で休んでしまったときに「お産が終わったのかな?それとも休んでいるのかな?」と迷わないためにも事前にレントゲン検査で胎児の数を確認しておくことが必要です。

またこの時期になると、母犬のお腹はさらに膨らんでいきます。階段などでお腹に衝撃が加わらないように注意してあげてください。母犬が慎重に行動するようになり、お腹の中で胎児が動くのも時々分かるようになります。


55日~出産までのケア

出産直前にもレントゲン検査を受け、胎児の大きさを調べておきましょう。あまりに大きな胎児だと、帝王切開が必要になる可能性があるためです。お乳は出産2、3日前から少し出るようになりますが、初産では出産直後くらいからようやく出始めるケースもあるようです。


出産前の準備について

トリミング

出産後、母犬は子犬にかかりっきりになってしまいます。母犬のお手入れをしておきましょう。長毛の犬種では、出産予定日10日くらい前にはトリミングに行き、カットを済ませておくと良いでしょう。

できれば短めに、さっぱりしてしまったほうが子犬の世話をしやすいかもしれません。特にお産では陰部周りが胎盤や血液、羊水などで汚れますので、なるべくさっぱりと清潔にしておきましょう。子犬が吸うおっぱいの部分は、バリカンで短くしておいてもらいましょう。


産箱

産箱は心地よくなじんでいるか確認が必要です。母犬がすすんで産箱に入り、一日のうち何時間かのんびり過ごすくらい気に入ってくれているかを確認しておきましょう。

母犬は一番精神的に落ち着くところでお産を始めます。産箱によくなじんでいないとソファやベッドなど、お気に入りの場所で出産してしまうこともあります。


環境整備

産まれたての子犬は自分で体温調節ができません。産箱にはタオルを何枚も敷くなどして床が冷えないように整えましょう。冬であればペットヒーターなどを用意しておいたほうが良いでしょう。

また、産箱の置き場所は飼い主さんに近く、かつ静かに過ごせるような場所で薄暗くしてあげたほうが良いですね。必要なときは母犬や子犬の様子を見てあげやすいように、屋根が外れる大きなケージを用いるか、ダンボールなどで作ってあげても良いでしょう。

産箱に慣らすにはまず心地よく整え、お産に適した所に置いてあげること。次に産箱の中でご飯をあげたり可愛がったり、産箱に入ったら誉めるなどして慣らしていきましょう。


まとめ

母犬にとって出産のとき何より心強いのは、信頼できる飼い主さんがそばにいて励ましてくれることです。母犬の精神状態が良くないとホルモン分泌が不安定になり、正常なお産が進まず難産に陥りやすいとも言われています。

飼い主さん自身がきちんと落ち着いて、対処できるようにしておきましょう!また、いざというときは動物病院に連れて行ってあげられるように準備しておくことが大切です。