動物病院でのマナーについて

どんなに健康なペットでも、予防接種や健康診断などで一年に数回は動物病院に連れて行くことがありますよね。その際、知らず知らずのうちに他の飼い主さんや病院スタッフに迷惑をかけてしまっているようなことはありませんか?

今回は動物病院で受診するときのマナーについて考えていきましょう。


動物病院でのマナーとは

動物病院でも、また他の場所でも、「うちの子が一番大切」と思い、知らず知らずのうちに自分本位な行動をしていませんか?

自分では気付かないことでも、周りにとっては自己中心的な行動と捉えられてしまい、他の飼い主さんとトラブルになってしまうようなことがあったら診察どころではなくなってしまうかもしれません。また、病院スタッフと上手くコミュニケーションが取れなければペットの症状を正確に伝えられず治療にも支障が出てしまうかもしれません。マナーとはお互いがよい関係を築いていくことで自分にも大いにプラスになるちょっとした気遣いなのです。

次からはマナーの実例について場面別に見ていきましょう。


マナーその1:来院時

来院する時は事前に動物病院に連絡をしておきましょう

病気のときでも、そうでないときも、どのような理由でいつ頃到着するかを動物病院に前もって伝えておきましょう。かかりつけの病院であればそのときに診察券番号と氏名を忘れずに伝えておくことで、病院スタッフもカルテを準備してスムーズに診察をすることができるでしょう。


診療時間を守りましょう

どうしても、という場合を除き、診療時間外の診察はお願いしないようにしましょう。診療時間外は手術や往診が入っていることもありますし、スタッフが不在で十分な検査や治療ができない場合もあります。急患以外の休日診療も同様に基本的には好ましいことではありません。


首輪やリード、ケージを使いましょう

愛犬には必ずリードをつけて連れて行きましょう。普段はおとなしくても、動物病院はペットにとって独特の雰囲気がある場所です。何が起こるかわからないので、しっかりと準備をしましょう。

また、たとえ自分のペットは大丈夫でも他の飼い主さんやペットが怖がることがあるかもしれません。動物病院に行く途中で抵抗してリードを引っ張り、首輪が抜けてしまう事故もよく聞きますので、暴れても抜けないことを確認した首輪か胴輪にしっかりとしたリードをつけるようにしましょう。


小型犬の場合、抱っこして動物病院へ連れて行く方も多いと思いますが、他の犬にビックリして飛び降りてしまう場合もあるため、やはりリードをつけておくか、ケージに入れて連れて行きましょう。

猫の場合、脱走防止や診察のしやすさを考えると洗濯ネットに入れてから、ケージに入れて連れて行くとよいでしょう。


マナーその2:待合室

なるべく一ヶ所で静かに待ちましょう

待合室内では他の飼い主さんのことも考えて、ペットをあまりうろうろさせてはいけません。犬の場合、リードはなるべく短めに持ち、常に飼い主さんの横、もしくはイスの下に座らせておきましょう。狭くて可哀想だからとケージ内のペットを待合室で出してしまうと、ペットが逃げてしまう危険性があるため、なるべく避けるようにしましょう。

もし、興奮してどうしても待合室で静かにできないようであれば、受付のスタッフに伝えて外や車の中で待つようにしましょう。


ペットを座らせる場所に気をつけましょう

愛犬は自分の横もしくはイスの下に座らせておくか、しっかりと抱っこしておきましょう。直接人が座る待合室のイスの上に乗せることは衛生面からも好ましくありません。同様に受付時に抱っこしていた小型犬を受付台の上に乗せるのも、なるべく避けるようにしましょう。両手が塞がって困る場合には、病院スタッフに少しの間だけ預けておくと良いでしょう。


他のペットに勝手に触ったりしてはいけません

待合室では他の可愛いペットを見かけることもあるかもしれません。しかし、飼い主さんや獣医師の了承無しに勝手に他のペットに触ってはいけません。同様にペット同士を触れ合うほど近づけてはいけません。元気そうに見えていても病院に来ている子ですから、興奮してはいけない病気にかかっているかもしれませんし、もしかしたら伝染する病気を持っているかもしれません。また、病院内でのペットは神経質になっている場合が多く、突然攻撃してくる場合もあるため、他のペットを触る前は必ず了承を得ましょう。


診察券を出した順番通りでないこともあります

検査機器の使用状況や担当の獣医師の診療内容、奥で入院しているペットの病状などから診察券の順番どおりでないことはよくあります。急患ですぐに診察が必要な場合は受付のスタッフに伝えるべきですが(通常はその前に気が付いて対応してくれます)、それ以外のときには呼ばれるまで静かに順番を待ちましょう。


待合室で粗相してしまったら、必ず病院スタッフに伝えましょう

もし待合室で粗相してしまった場合には、必ずそのことをスタッフに伝えましょう。たとえ自分できれいに拭き取っても消毒などが必要な場合もあるからです。ペットがしてしまったことを黙認してそのまま帰るような行動は、飼い主として絶対にしてはいけません。

また、ペットが排泄をしたそうな素振りを見せたときに病院内でなければ良いだろうと、出入口付近で排泄をさせる方もいますが、病院の敷地内や病院周辺の家の前でさせることも本来はマナー違反です。待合室内と同様に、自分でできるだけの始末をした後に必ずスタッフにそのことを伝えておきましょう。

このようなハプニングを避けるためには、どんな場所でもペットシーツの上で排泄ができるように普段からしつけをしておくと良いですね。


マナーその3:診察室

携帯電話の電源は切っておきましょう

動物病院で使われる医療機器のほとんどは、人の病院で使用しているものと同じ物です。中には電磁波の影響を受けるものなどもあるため、人の病院と同じく、動物病院内では携帯電話の電源は切っておきましょう。もし、使用する場合には病院の外に出てかけるようにしましょう。


勝手に医療器具などに触らないようにしましょう

診察室内にはさまざまな検査器具があります。一見単純な金属の棒のように見えるようなものでも高価な医療器具であることもあるため、これらの器具には勝手に触れてはいけません。同様にペットも医療器具を触って落としたり、噛み付いたりしないように飼い主さんが常に気をつけていましょう。


診察中は静かに見守りましょう

獣医師は物言わぬペットのちょっとした仕草や聴診器からの小さな音を頼りに病気の原因を探っていきます。動物病院の診察とは、そのくらいとてもデリケートなものなのです。心配で獣医師にたくさん話をしたい、ペットにたくさん話し掛けてあげたいと思う気持ちはわかりますが、まずは病気について聞かれた場合のみ簡潔に答え、それ以外の時にはなるべく静かに診察を見守っていましょう。


指示に従いましょう

検査や治療を行う際に、ペットが暴れないよう飼い主さんも一緒に押さえてもらうことがあります。また場合によっては、飼い主さんに一度診察室の外に出てもらうこともあります。これらは最善の処置を行うために必要なことですので、素直に指示に従うようにしましょう。


マナーその4:お会計時

分からないことはきちんと聞いておきましょう

お会計時は質問をする最後のチャンスです。家に帰ってから、話が違うということにならないように、治療方針のこと・薬のこと・治療費のことなど少しでも疑問に思うようなことがあればきちんと聞いておきましょう。特に、お薬は飲ませ方を間違えると逆に毒になってしまうこともあります。聞き間違えたり忘れたりすることがないように、メモを取りながら聞いておくと良いでしょう。


先にペットを帰した方がよい場合もあります

病院に慣れているペットは、お会計時にすでに診察が終わったということが分かります。病院が好きなペットはあまりいないため、ほとんどの場合、診察が終わると一刻も早く帰ろうとします。もし一緒に病院へ来ている人がいる場合、会計を待ちきれず待合室でも騒ぐようであれば、先にペットを家に連れて帰ってもらうなどの配慮も必要です。


保険に入っている場合は前もって言っておきましょう

最近はペット保険の種類が増えてきています。しかし、それぞれの会社によって保険対象や保険金額などが異なるため、会計が非常に煩雑となることがあります。保険証は前もって忘れずに提出し、後から「そういえば保険に入っていた」などとならないようにしましょう。


まとめ

上記で挙げた実例は、人によっては当たり前のことばかりかもしれません。しかし、ペットとその飼い主が集まる動物病院では、その当たり前の気遣いがペットの健康に大きく関わる場合もあります。皆が少しずつ相手のことを思いやることで気持ちよく、スムーズに診察することができたら、ストレスなく動物病院を受診することができるのではないでしょうか?

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