動物が歳をとったり、病気になることで寝たきりの状態になると、その部分だけに体重がかかり“床ずれ”ができることがあります。
今回は、正しい床ずれの管理方法について学んでいきましょう。
床ずれとは
寝たきりになって固い床の上に同じ姿勢で寝ていると、骨が出っ張っている部分だけに常に圧力がかかってしまいます。そしてその状態が長く続くと、圧力がかかっている部分に栄養を運んでいる血液の流れが悪くなり、結果として組織が壊死してしまいます。この状態を床ずれといいます。皮膚が傷つき、壊死した組織に細菌が感染すると、細菌の毒素によってさらに床ずれは広がってしまいます。
皮膚が擦れることで表面から傷ができると思っている方も多いですが、床ずれは皮膚の深い場所の組織から死んでしまうことが多く、気がついたときには大きな範囲で皮膚や皮下組織、筋肉に異常があるケースが多く見られます。
できやすい場所
床ずれは、特に骨が地面に当たる場所にできやすく、横向きに寝ていることの多い犬の場合、腰の左右に張り出している部分(腰角)や胸前の肩甲骨が出っ張っている部分、肘やかかとがもっともできやすい場所といえます。そのほかにも、頬骨の出っ張っている部分や手首や膝など骨をさわることのできる場所、肋骨の一番膨らんでいる部分なども注意しなければいけない場所です。
症状
初期では、皮膚がやや赤くなっていたり薄くなっている程度ですが、そのままにしておくと皮膚が傷つき、下の組織が見えるようになり、悪化すると骨まで見えてしまうことがあります。通常は皮膚にぽっこりと穴が開いたように見えますが、皮膚の下が大きくポケット状に広がっていることもあります。表面は体液で湿っていて、そこに細菌が感染してしまうと膿が出ていることもあります。
床ずれができるような子は、もともと寝たきりで健康状態がよくないことが多いため、そこに細菌感染が起きるとさらに状態が悪化してしまい、敗血症になることもあります。
管理方法
床ずれを確認したら、できるだけ早く動物病院で診てもらうことが大切です。動物病院ではまず傷の表面の汚れをきれいに水か生理食塩水で洗い流し、汚れの原因となる周囲の毛をバリカンなどで刈るなどの処置をします。その後、ドレッシング材と呼ばれる特殊なばんそうこうで傷口を覆い、傷を乾燥させないようにしながら肉が下から盛ってくるのを待ちますが、治るにはとても長い時間がかかります。ドレッシング材は毎日替える必要があり、治療している間は新たな床ずれができないように気をつけてあげなければなりません。
以前は床ずれを起こした場所が地面につかないように、まくら型やドーナツ型のパッドなどを使用したこともありますが、パッドが当たっている部分が新たに圧迫されて血行障害を起こすこともあるため、最近はパッドの使用には十分な注意が必要であるとされています。
予防
ペットが寝たきりになってしまったら、低反発マットなどでできたやわらかくて厚みのあるベッドを使って、体の重さを一ヶ所に集中させないように、1日に数回飼い主さんが寝返りをうたせることで床ずれを予防しましょう。
まとめ
床ずれは一度できてしまうと、管理はとても大変です。そのため、治療よりもできないようにする予防がとても大切です。
楽しい時を長い間共に過ごしてきたペットだからこそ、もしも寝たきりになってしまっても、その後もたくさんの愛情をかけてあげましょう。
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