実は知らない「ウサギ」の生態

近年、ペットとして人気が高い小動物ですが、ウサギは長年にわたり多くの方に飼われています。ウサギは、大きな声を出すことがなく散歩をする必要もないため、マンションの室内でも安心して飼うことができます。

今回はそんなウサギとは、どんな生き物なのかお話しましょう。


基本情報

ウサギの1歳は、人でいう約20歳に相当します。寿命は5~6年といわれていましたが、良質なフードや正しい飼育法が普及してきたため、現在では10歳以上の子も多く見られるようになりました。ウサギは、生まれたばかりのときは毛も生えていない状態ですが、生後約半年で性成熟に達し、一回の妊娠で6~8匹の赤ちゃんを産みます。室内で飼うことの多いウサギにとっての適切な室温は20~25度で、暑さが苦手なため夏は環境整備が非常に大切です。


体の特徴

ウサギは肉球がなく、足の裏は先端まで毛で覆われています。肉球は岩場などつるつるした場所で滑り止めの働きをしますが、草原で暮らすウサギにはその必要がないことが影響しているのかもしれません。

目は顔の前ではなく両側についていて、少し飛び出しています。そのため、視野が広く、ほぼ真後ろまで見ることができるといわれています。しかし、視力はあまり良いほうではなく、大きな耳を活かした聴覚とよく動く鼻の嗅覚によって周囲の情報を把握しています。


食性

うさぎと、犬や猫とのもっとも大きな違いは、うさぎが草食動物であるということです。植物は肉に比べて栄養が多く含まれていないため、その分植物をたくさん食べて、盲腸の中で発酵させて腸内細菌の力で栄養を取り出して吸収しているのです。そのため、うさぎの盲腸はとても大きく、盲腸内で作られたビタミンやタンパク質を豊富に含んだ「盲腸便」と呼ばれる糞を夜に自分で食べることがあります。また、常に植物を食べ続けてうさぎの前歯が磨り減ってしまわないよう、一生伸び続けています。しかし、ペットとして飼う時にはペレット状のフードばかり食べていると歯が磨り減らずに必要以上に伸びてしまうこともあるので、かじって歯を削ることができるおもちゃを与える必要があります。


うさぎの種類

うさぎというと、「白くて目が赤くて大きい耳が立っている」イメージがありますが、実際にはさまざまな毛色や大きさのウサギがペットとして飼育されています。中でも、「ミニウサギ」と呼ばれるうさぎが人気で、体重が1~2kgほどの大きさしかなく、耳も小さめです。また、「ロップイヤー」という長い耳が左右に垂れているうさぎも人気があります。ふわふわとした綿毛のような長い毛に全身覆われているアンゴラ種や、短く柔らかい毛が密集してベルベットのような手触りのレッキス種など珍しい種類も存在し、中にはフレミッシュジャイアントという体重が8kgを越す、柴犬と同じような大きさのうさぎも存在します。


野ウサギとペットとしてのウサギ

里山のほうに行くと、日本国内でも野ウサギを見ることができます。野ウサギとペットのうさぎは全く違う種類で、大きさや骨格、生活様式が大きく異なります。ペットのウサギはもともとヨーロッパに住むアナウサギという種類で、地面に穴を掘ってトンネルを作り、その中に巣を作って集団で生活をするという特徴を持っています。このウサギから、次々に変化していきペットとして飼われるさまざまな種類のウサギが誕生していきました。


人とウサギの関係

よく、犬や猫と比べてウサギはしつけが難しいといわれることがあります。しかし、ウサギは嬉しい時には人の周りをぴょんぴょんと飛び回ったり、何かして欲しい時には鼻でそっとつついてきたり、イライラしている時には後ろ足でバタバタと床を叩いたり、とても感受性が強い動物です。そのため、人の言うことも受け入れて聞いてくれるでしょう。また、自分の名前を覚えて、呼ぶと犬のように来てくれることもあります。

特にトイレトレーニングは、もともとウサギは決められた場所で排泄する性質があるため、比較的簡単に覚えてくれます。


まとめ

ウサギはふれあい広場や小学校の飼育場で飼われていることが多いため、小さい頃から馴染みのある動物でしょう。また、ウサギは比較的飼いやすい動物のため、気軽に飼い始める方も多くいます。しかし、しっかりと飼育方法を理解した上で、適切な環境を整える必要があります。今回のお話がこれからウサギを飼う方にとって、少しでも参考になると幸いです。

ペットクリニック.com

獣医師発信のペット情報サイト