しつけに対する犬の集中力

犬のしつけがうまくいかない飼い主さんの中に「しつけをしようとしてもすぐほかのことに気をとられてしまって、全然こちらのいうことを聞いてくれない」と悩まれる方がいます。では、しつけを成功させるために、犬が人の行動や言葉に対して集中力を持ってもらうにはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。


コンディション

まず、しつけを行う前に犬が集中力を高められるコンディションかどうかを確認しましょう。心身ともに健康な状態でないと精神を集中することが出来ないのは犬も人も同じです。健康な状態であることをきちんと確認しておきましょう。

コンディションは飼い主さんにとっても重要です。イライラすることや心を乱されるようなことがあると、犬にもその気持ちが伝わってしまいます。また、早くしつけをしたいと焦って犬が自分に注目するように次から次へとおもちゃやおやつを与えても犬を戸惑わせるだけです。落ち着いた心で犬に接してあげましょう。


環境

犬が集中するには静かな場所を用意しましょう。大きな物音がしたり、周りの人や動物が目に入るような場所では、そちらが気になって飼い主さんのいうことに集中できません。犬が落ち着ける環境で1対1で向き合うことが出来るのが理想といえるでしょう。


タイミング

犬には集中力が高まりやすいタイミングというものがあります。しつけを行うときにはそのタイミングを逃さないようにしましょう。

例えば、少量のおやつを使ってしつけをする時には、食事から3時間経ったお腹が空き始める時間に行うとよいでしょう。満腹の時にしつけを行おうとしても、おやつに興味を示さず、逆に空腹すぎてしまうとおやつばかりに気をとられて人のいうことを聞かなくなってしまうことがあります。


集中力を高めるポイント「アイコンタクト」

集中力を高めるための第一歩は「アイコンタクト」です。見つめ合うという行為は集中力を要する行為であるのと同時に、お互いの心の絆があって初めてできることです。毎日ごはんをあげて、グルーミングをして、一緒に遊んであげることによって犬は自然に飼い主さんのことを信頼して、アイコンタクトをとるようになります。

名前を呼んでいつでもアイコンタクトをとれるようにするためには、少量のおやつを使ってもよいでしょう。おやつを見せながら目線の合うところまで誘導して、アイコンタクトをしたらおやつをあげてよく褒めるようにします。


集中力を活かしたしつけ

アイコンタクトをとれるようになれば、人の指示に注目させるようにすることはそこまで難しいことではありません。指示を常に明確に出し、出来たらよく褒めてあげましょう。このときに大切なのは、しつけを長く続けないことです。集中力を高めて忍耐力をつけようと同じしつけを何回も繰り返したり、長い時間「マテ」の指示を続けていても、犬はその行動を苦痛に感じ、嫌なものだと認識するようになってしまいます。

しつけの時間は1日10分を目安に行いましょう。そして、トレーニングの時間を辛いことだと感じさせずに、楽しいゲーム感覚で行います。なるべく失敗をさせないように出来るところから少しずつ次に進んでいくようにして、必ず褒めて終わるようにすることが集中力を維持するコツです。犬が自らすすんで夢中になれるようなしつけをしていくことが、犬の集中力を高めることになります。


まとめ

犬種によって生まれつき集中力の高い犬種とそうでない犬種が存在します。また、集中力の高い犬種のなかでも、個体差があることを理解しておきましょう。

人に対して集中することができれば、犬のしつけは難しいものではありません。しかし、犬にばかり集中力を求めるのではなく、飼い主さんも毎日こつこつ、根気強くしつけをして、成長する犬を優しく見守ってあげることが大切です。