信頼関係を築くカギ「リラックスポジション」

犬と楽しく過ごすためには、飼い主さんが犬にとってのリーダーになることと、犬の社会性が重要です。今回はその中でも、主従関係・信頼関係が築ける「リラックスポジション」についてご紹介します。


「しつけ」について

オスワリやマテができるからといって「しつけ」が完璧であるとは限りません。しつけとは、人と共に暮らしていくために、犬が人間社会のルールを学び、上手に暮らしていけるようにすることです。

犬はもともと群れで生活していた動物です。その群れの中で順位を決めて生活をしていたので、犬が家族の中でリーダーになってしまうと、群れを守ろうとする意識が強くなってしまい、無駄吠えや飛びつく、咬むなどの問題行動が表れてしまいます。


しつけのための「リラックスポジション」

服従のサインとなる横倒しの姿勢を飼い主さんが犬にとらせることで、犬が身を委ねてリラックスし、警戒心を解くことで主従関係を示すことができます。また、これにより信頼関係も築くことができます。犬が嫌がる部分を日頃から触れるようにしておくことで、知らない人と触れ合ったときに咬んでしまうような問題行動も少なくなります。

また、日頃から犬に触れていることで皮膚の状態や体の変化に気付くことができるようになります。


リラックスポジションをとらせる方法

飼い主さんが両足を合わせて伸ばす姿勢で座り、壁などにもたれかかるようにして犬を仰向けに乗せます。

大型犬などの場合は、両足を開きその間に犬を仰向けに寝かせます。このとき、背骨を保護するためにやわらかい布を使用してもよいでしょう。


ポイント

途中で犬が暴れてしまっても、絶対に逃がさないでください。一度でも逃げられてしまうと、犬は暴れることで逃げられると学習してしまい、リラックスポジションをとらせる度に暴れるようになってしまいます。

犬が落ち着いた状態で手を離しても逃げないようであれば、そのままの体勢で頭からしっぽの先まで全身をどこでも触れるようにしましょう。ここまで出来るようになると、飼い主さんと犬の主従関係は明確となります。

そして、犬が落ち着いた状態のときに「よし!」などの言葉の合図と同時に、胸の辺りを軽く叩いて解放してあげます。

短い時間から始めて徐々に時間を延ばして慣らしていきましょう。


「リラックスポジション」の注意点

  • 咬みグセがある犬には、無理に行わない
  • 犬にだらけた楽な姿勢をとらせない
  • まずは数分でもいいので、最低でも1日1回は家族全員が行う
  • 暴れてもできるだけ逃がさない
  • 犬が落ち着いて寝てしまったら大成功
  • 飼い主さんもリラックスして行う

    ※飼い主さんがリラックスしていなければ、犬もリラックスできません。犬が飼い主さんの足の上で後肢を開き、しっぽが垂れ下がっている状態なら落ち着いてリラックスしているサインです。


まとめ

毎日数分でも、続けることで犬との信頼関係が良くなり、飼い主さんが犬にとってのリーダーになれるでしょう。初めはお互い大変なこともあるかもしれませんが、これを身につけることで、お互いに気持ちよく生活を送ることができるようになります。可愛いだけでなく、犬が人間社会でストレスなく生きていくための手助けをしてあげましょう。

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