ふだん何気なくペットへ与えているおやつは、「どんな時に」「どんなものを」「どのくらい」「どんな風に」あげたらいいのでしょうか?
今回は、ペットにとってのおやつの意味や適切な種類と量、そして与えるタイミングについてをお話します。
ペットにとって“おやつ”は大事?
おやつを与えることは、ペットと飼い主さんのコミュニケーションにおいて有効な手段といえます。しかし、おやつを与えすぎることで食生活が乱れ栄養が偏ったり、肥満になってしまったり…。飼い主さんが病気の原因を作ることになる可能性を秘めているのです。
ペットの健康面だけを考えると、栄養の整った総合栄養食だけを与え、おやつは与えないに越したことはありませんが、しつけの際に使用するご褒美や飼い主さんとのコミュニケーションの手段としておやつが必要な場合があるのも事実です。そのため、おやつを与える際には目的に応じて適切な量を与えるのが望ましいでしょう。
犬も猫も、健康体であれば食べることが大好きな動物です。与えられるものは何でも食べたいのが本心です。かわいいペットの健康を考えるのであれば、「この子が欲しがるので、つい…」という理由だけでおやつを与える行動は控える努力が必要です。
おいしいものを食べるためなら…
「うちの子、ドッグフード食べないから…」「何も食べないんじゃかわいそうだから…」
このような理由でペットにおやつを与えていませんか?
たしかに何も食べないのは心配ですが、元気で体調がふだんと変わらないようであれば、そのような心配は持たなくても大丈夫です。体調に問題がないペットであれば1週間食べなくても平気だといわれています。
ペットが食事を食べないと飼い主さんは心配になっておいしいものを次々に与えてしまうことがあります。すると、頭のいいペットは「食べなければもっとおいしいものがでてくる」と学習し、ますます偏食になってしまいます。人間同様、ペットも同じ食べ物ならおいしいものを食べたいと思うものなのです。
さらに、グルメなペットに特に多いのが「与えられたもののにおいは嗅いでいるのに食べない」という行動です。これは、においを嗅いで好きなものかそうでないかを選り好みをしているのです。このような立派な知能犯の作戦に、飼い主さんがはまって負けてしまわないようにすることが大切です。
おやつはどんなものがいいの?
基本的に「おやつ」は「食事」ではないので、いろいろな種類をあげる必要はありません。それよりも、飼っているペットにとって必要なおやつを知っておくことが大切です。
例えば便秘がちなペットにはプレーンヨーグルトや繊維の多いものを、また一度にたくさん食べられないペットの場合は、小分けにしてあげるのがよいでしょう。小食のペットにたくさんのおやつをあげてしまえば、それこそおやつだけでお腹がいっぱいになってしまうため、ペットによって量の調整が必要です。
また、生野菜はカロリーも低いのでヘルシーだと思われがちですが、犬の腸は短いため栄養を吸収する前に便と一緒に排泄してしまったり腸内で発酵してガスがたまったりすることがあります。健康面を考えると生野菜よりも茹でたほうがよいのですが、茹でると見た目の量が減ってしまうため、与え過ぎないように注意することが必要です。
一方、乾燥したおやつを食べると胃に入ってから胃液を吸収して膨らむので、食べてしばらくしてから満腹になります。このようなおやつを食事の前に与えてしまうと、食事の時間になってもお腹が空かないため、食生活が乱れる原因にもなります。特に乾燥したおやつの場合は「水分を含んだらどのくらいの大きさになるのか?」を常に想像してから与えるようにしましょう。
最近では、低カロリーのものや添加物の入っていないおやつもたくさん売っています。大切なペットの健康を考えるのであれば、おやつの中でもできる限り「添加物がたくさん入っている加工品のような、いわゆる“おやつ”ではなく、なるべく“主食”に近い」ものがよいのは言うまでもありませんね。
「小さくちぎって」「回数を分けて」
では、「少量」とは一体どのくらいの量のことなのでしょうか?犬はほとんど噛まずに飲み込む食性があるので、大量でも少量でも食べきるまでの時間はさほど変わりません。と、いうことは少量のおやつを与えるほうがよいでしょう。
飼っているペットの「少量」を知るには、まずはペットの1日に必要なカロリー量を把握する必要があります。おやつの摂取量は1日に必要なカロリー量の10%程度までなら、主食であるペットフードの栄養バランスに影響がないといわれています。もちろん、一番の理想はペットフードのみをあげることですが、どうしてもおやつをあげたい場合は1日のカロリー量を計算して、あらかじめペットフード以外の1日にあげてもよいおやつの量をビニール袋に入れておきます。そして、必ずそのおやつだけを与えるようにしましょう。
ここで重要なのは「小さくちぎって、できるだけ回数を分けてあげる」ことです。ペットはおやつの量よりも、「もらうこと」や「飼い主さんとのコミュニケーション」にずっと満足するのです。
おやつを与えるタイミング
いつ、おやつを与えていますか?
おやつによって食生活が乱れるようではいけません。あらかじめ設定したご飯の時間にちゃんとお腹が空くようなタイミングであげましょう。もしくはご飯をすべて食べたご褒美としておやつを与えれば、「これを食べればおやつがもらえる」という学習で、きちんとした食生活を送ることができます。
また、犬の中には空腹時間が長いと明け方に胃液を吐いてしまうペットがいます。そのようなペットには、寝る前に少量だけ消化のよいものを与えるのもよいでしょう。
人間は「おやつ」と「主食」は違うものと認識できますが、ペットにとっては「これおいしいな」「これおいしくないな」という違いがあるだけで、同じ「食べ物」であることに変わりはありません。よって飼い主さんから「食べ物」をもらえるのであれば、おいしいもののほうを好んで食べるのは当たり前の行動なのです。
まとめ
ペットと一緒に生活するなかで、健康管理をしてあげられるのは飼い主さんだけです。必要な栄養とエネルギーを、高品質でバランスのとれた食事で与えることこそが健康を維持するうえでなによりも大切なことではないでしょうか。
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