太り気味でダイエットさせたいと悩んでいる飼い主さんがいる一方で、食欲にムラがある、食が細いといったペットに頭を抱えている飼い主さんもいらっしゃると思います。今回は、食が細いペットがフードを食べてくれない原因と、食べさせるための工夫についてお話をしていきます。
ペットの食欲があまりないときの原因
ペットの食欲は、肉体的・精神的な健康状態の重要なバロメーターですが、実は食事の様子を通して飼い主さんとコミュニケーションを取ろうとしていることがあります。
原因その1:病気で食欲があまりない
例えば、フードは食べないが水を大量に飲んだり、食べないせいでどんどん痩せてしまったり、食欲不振のほかにも下痢や嘔吐などの別の症状が見られる場合には、何らかの病気が原因で食欲がなくなっている可能性があります。
胃や腸などの消化管の問題だけでなく、肝臓や腎臓に異常がある、どこかに痛みがあって食欲が減退している、めまいなどの神経的な問題や熱中症で食欲がないなど、さまざまな原因が考えられるので、まずは動物病院で詳しく検査をしてもらうことが大切です。
原因その2:食欲よりも気になることがある
例えば、メスが発情中のときには食欲は減退します。オスの場合でも近くに発情中のメスがいる場合は、そちらが気になってごはんを食べなくなってしまうことがあります。
また、ごはんを食べる場所がうるさくて落ち着かないところであったり、食べようとするとほかのペットが邪魔をしたり、大好きだった家族が突然いなくなったり、といった精神的な問題からも食欲がなくなってしまうことがあります。
原因その3:お腹が空いていない
成長期のペットは、体を作るためにごはんをたくさん食べます。全身に対して胃の大きさもとても大きなものです。しかし、育ち盛りを過ぎてしまえば、そんなにたくさんの栄養は必要としなくなるため、食欲も落ち着いてきます。また、狭い部屋(ケージ)の中で長時間お留守番をしている子や、外飼いなどでリードでつながれっぱなしの生活をしている子はエネルギーをあまり使わないため、空腹感が乏しくあまり食欲がありません。
原因その4:フードを食べないでいると、いいことがある
普段のフードを食べないからといって、おいしいおやつや人が食べるものを与えてしまったら「フードを食べないで我慢すると、もっとおいしいものがもらえる」と学習してしまいます。また、フードを食べなかったときに心配した飼い主さんが、いつも以上に声をかけたりなでてくれたという経験があると、飼い主さんが構ってくれると勘違いをして、食べることを我慢してしまうことがあります。
では、食が細い、食べムラがあるペットにはどのように対処すればよいのでしょうか?
対処法
1. まずは病院で検査をしてもらいましょう
ペットの食欲がなくなった原因が、病気によるものかどうかをきちんと動物病院で検査をしてもらいましょう。そのときには、体重の変化や食欲が急激になくなったのか、徐々に食べなくなってきたのか、食べ方や様子の変化などをよく獣医師に説明しましょう。血液検査を行えば肝臓や腎臓についての数値を知ることができますし、レントゲンを撮ることによって胃や腸の様子もある程度把握することができます。発情による食欲不振が考えられる場合には、避妊去勢手術の可能性についても獣医師に相談してみましょう。
2. 与え方に工夫をしましょう
もし何らかの病気が疑われたら、もちろんその病気の治療を最優先にしますが、そのときのフードはなるべく少量でも栄養が摂れ、消化のよいものを与えるようにしましょう。ペットは味覚よりも嗅覚で食欲を感じるため、食欲を出すためには匂いが出やすいようにフードを少し温めたり、ドライフードをお湯やささみのゆで汁などでふやかしてみてもよいでしょう。
3. 健康な場合は空腹感を覚えさせましょう
健康状態に問題はないが食が細いペットには、まず空腹感というものを覚えさせましょう。食事は時間を決めて与え、食べても食べなくても一定時間置いたら片付けてしまいます。そして適度に運動をさせたり、お腹をやさしくマッサージするなどして、腸の活動を活発にしてみましょう。
4. 駆け引きに負けないようにしましょう
ペットが食べないことで何かいいことを(もっとおししいものがもらえる、もっと構ってもらえるなど)期待している場合には、飼い主さんはそれに負けないようにしましょう。食べないからとフードの種類を何度も変えたり、食事の最中に近くで見守っていたり、手からご飯を食べさせるような行為はペットをますます間違った方向に導いてしまいます。しつけのごほうびでも特別においしいものではなく、普段のフードを少量あげるようにし、たとえ食べなくてもあまり困った様子はみせないようにしましょう。
最後に
ペットがおいしそうにごはんを食べる姿は本当に心をなごませます。でも、すべてのペットがみんな何でもモリモリと食べるわけではなく、食べ方や食べる量もある程度は個性です。それぞれの子に合った正しい食事量を理解し、それを基準として健康管理を行えるようにしましょう。
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