褒めて覚えるしつけ ~オペラント条件付け~

しつけは、愛犬と幸せに暮らす上で非常に大切なことです。私たちの生活のルールをしっかり学ばせることでお互いストレスなく快適に暮らすことができます。

これから家族として迎え入れる方、既に飼っていてしつけに悩んでいる方、今回お話するしつけの方法を頭に入れて、時間を掛けながら試してみてください。

今回は、しつけの方法の1つである「オペラント条件付け」についてお話します。


オペラント条件付けとは?

オペラント条件付けとは、何か良いこと・悪いことに対して、適応して自発的に行動を起こし学習することをいいます。以前は、してはいけないことを叱って注意してしつけるという方法が主流でしたが、最近ではオペラント条件付けを利用したしつけが基本となってきました。

ではなぜこのオペラント条件付けが、しつけの基本となり多く取り入れられているのでしょうか? 


オペラント条件付けによるしつけの方法

私たち人間でも、自分が何かした時に褒められると、とてもうれしい気持ちになります。特に子どもの場合は「こうしたらお母さんが褒めてくれた!」などの経験を通して「同じことをすればまたうれしいことが起こる」と学習していきます。

犬も頭のよい動物なので、それとまったく同じ原理で、特定の行動の結果、良いことが起きたという経験から同じような行動を繰り返し、学習していきます。

次に、しつけのポイントについてご説明します。


1.やる気を起こさせることが大事

オペラント条件付けの最もよいところは大好きなおやつ等、良いことを手に入れるための手段を自ら考え、行動に移していきます。それほど「ご褒美」は愛犬にとっては魅力的なアイテムです。

この方法なら、もし間違えたとしても叱られることがないので愛犬が嫌がることはありません。そして飼い主さんも叱ることがないため、嫌な気持ちにならず、お互いが楽しみながらしつけをすることができます。

万が一失敗しても決して叱ってはいけません。やる気を損なわれて、成功確率が格段に低くなってしまいます。注意しましょう。


2.繰り返すことが大事

しかし、一度成功したからといって、すぐにその行動を覚えるわけではありません。

何回も繰り返し教えてあげることが必要で、完璧に覚えるまでには時間がかかります。時間を空けてしまうと、忘れてしまう場合もあるので時間をあけずに定期的に繰り返してあげましょう。

根気よくこのオペラント条件付けを利用したしつけを繰り返していくことで、愛犬はある行動をすると、いつもよいことが起こると理解し、積極的に指示に従ったり生活の中で必要な行動を自発的にとってくれるようになります。


3.ご褒美はおやつだけではない

オペラント条件付けを利用したしつけのご褒美として、主に「おやつ」を取り上げてきましたが、ご褒美はおやつだけではありません。

太っている子におやつでのご褒美はできるだけ避けたいものだと思います。

ご褒美は犬が喜ぶものであればなんでもよく、おやつ以外にも褒める・遊ぶ・なでるなど、たくさんの方法があります。むしろこれらの方が、スキンシップを通じて飼い主さんとの信頼関係がより深くなるかもしれません。愛犬が喜ぶご褒美を選んであげれば、それがオペラント条件付けをよりスムーズにさせます。


こんなこともオペラント条件付け?

このように、オペラント条件付けは行動の結果として良いことが起きたという経験から行動を繰り返すというものでした。他にも、「ご褒美がもらえた」以外に「目の前から嫌いなものがなくなった」というアクションも愛犬にとって良いこと・うれしいことの1つです。つまり具体的なお話をすると、ごはんをあげても食べず、最終的には食べない代わりにおやつをあげた、などといった行動も本人にとっては良いことになります。これは嫌いなごはんを食べなかったら、おやつをくれた=うれしいこと、というオペラント条件付けとなってしまいます。これを毎日続けてしまうと学習してしまい、ごはんを全く食べなくなってしまう可能性が出てきてしまいます。この場合は、おやつはあげずに一定の期間経ったらお皿を下げるようにしましょう。


まとめ

しつけがしっかりとできていれば、飼い主さんとの間にもよりよい関係を築くことができます。このオペラント条件付けを利用したしつけの方法は、愛犬はうれしくなることを繰り返し行っているので、愛犬にとっても飼い主にとっても非常に楽しい時間になるかと思います。しつけは定着するのに時間が掛かってしまいますが、根気よく取り組んでいきましょう。