犬を飼っていると、「トリミング」という言葉をよく耳にしますね。しかし「トリミング」の世界には、シャンプーやカットの他にもたくさんの用語が存在します。犬をはじめて飼った方は、トリミングをお店でお願いする際に、耳慣れない言葉を聞いて戸惑った経験があるかもしれません。今回は、トリミング用語についてお話します。
「トリミング」と「グルーミング」の違い
シャンプーやカットなどのすべてのお手入れを指す言葉として「トリミング」を使用するケースが多いのですが、「トリミング」とはお手入れ全般を示す言葉ではありません。
トリミングとは、一言で説明すると、「犬の毛をカットすること」を指し、ハサミで毛をカットする、バリカンなどを使って毛を刈り取る、指や専用のナイフを使って毛を抜く作業など、犬の被毛を整える技術のことを示します。
そして、被毛のお手入れ全般を指すことはトリミングとは別に、「グルーミング」と呼びます。グルーミングには、トリミング・ブラッシング・爪切り・歯みがき・耳そうじ・肛門腺絞りなどが含まれており、「トリミング」は「グルーミング」の中の一つの方法になります。
グルーミングに含まれる方法名称
犬の被毛を整える「トリミング」以外にもたくさんのケア方法がありますので、ここではその一部を紹介します。
【ブラッシング】
ブラシ(スリッカーなど)をかけ、被毛の汚れを落とし毛並みを整える作業のことです。毛並みを整えるだけではなく、皮膚のマッサージ効果により血行を良くし、新陳代謝を促進します。
【クリッピング】
被毛をクリッパー(バリカン)で刈って、形を整えることです。
【ラッピング】
被毛を汚れや傷から守るため、毛を少しずつ束ねて、専用の用紙に包むことです。
【プラッキング】
指先または専用のナイフを使用して毛を引き抜く作業のことです。テリアなどの毛が硬い犬は、クリッピングをすると毛が柔らかくなり本来の毛質ではなくなってしまうため、部分的に毛を引き抜きます。
【シザーリング】
シザー(ハサミ)で被毛をカットする作業のことです。チッピング(被毛の毛先を切り揃える作業)、スイニング(毛をすきながら形づける整え方)などもこの中に含まれます。
【レーキング(レイキング)】
レークやスリッカーなどでデスコート(老廃毛)を取り除くことです。毛質が良くなったり血行促進の効果があります。
グルーミングで使用する道具の名称
【ネイルトリマー】
爪切りのことです。ハサミ式のニッパータイプと、輪の中に爪を入れて切る飛び出し式のギロチンタイプの2種類があります。
【スリッカー】
先の曲がった細い針金がついているブラシのことです。普段のブラッシングではスリッカーを使用することが多いです。
【ストリッパー】
ハンドルのついたノコギリ状の歯のような形をしている道具です。指先で犬の毛をつまみ、毛並みに沿って引き抜く際に使い、主にテリア種に用います。
【ピンブラシ】
先が球状のピンが植え込んであるブラシのことです。スリッカーと比べ毛が切れにくいため、ロングコートの犬種に使用します。
【マイクロバブルバス】
極小の泡(マイクロバブル)で皮膚表面の汚れだけでなく、毛穴の奥の汚れまで落とすことのできるバスタブの装置のことです。
グルーミングで出てくる体や毛質の名称
最後に、グルーミングで使用する体の名称や毛質の名称を一部紹介します。
【ダブルコート】
体温を保つために、被毛が二層になっていることを呼びます。上毛のことをオーバーコート(外側の被毛を形成しています)と呼び、下毛のことをアンダーコート(やわらかく密集して生えています)と呼びます。ダブルコートの犬種は換毛期にはアンダーコートが生え変わるため、ブラッシングが必須です。
【シングルコート】
プードル種やマルチーズ、ヨークシャー・テリアなどアンダーコートをもたない犬種の被毛をシングルコートと呼びます。アンダーコートがないため換毛期はありませんが、寒さにはとても弱いので注意が必要です。
【逆毛】
通常の毛並みに逆らって、逆方向に向かって生えた毛のことです。
【ストップ・マズル】
額と鼻のつなぎ目の部分のくぼみのことを「ストップ」と呼び、ストップから鼻先までの部分を「マズル」と呼びます。
【イマジナリーライン】
テリア種やコッカーなどのトリミングの形作りを行う上でのイメージラインのことを呼びます。ラインを境に片方の被毛を長く、もう片方の被毛を短くする目安とします。
【タッセル】
耳の先に残す飾り毛のことを呼びます。
おわりに
今回紹介した用語のほかにもたくさんのトリミング用語が存在します。犬の種類によっても必要とするトリミング技術が変わってきますので、愛犬やお友達の犬にはどのようなトリミング技術が施されているのか、またその用語の意味などを知るのも楽しいかもしれませんね。
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