猫と遊ぼう ~猫が飽きない遊び方とは?~

獲物を捕まえる名ハンターである猫は、物にじゃれついて遊ぶことが大好きです。人と一緒に暮らし、食事も毎日きちんと与えられている現代の猫は、狩りをして獲物を捕まえる必要こそありませんが、「狩りをしたい」という気持ちは今でも本能として持ち続けています。その狩りをしたいという衝動を満たすのが、『遊び』なのです。


一緒に『遊ぶ』のは飼い主の仕事

猫は子猫のとき、母猫や兄弟猫とのじゃれ合いを通して相手との力関係や咬むときの力加減などを自然に学習し、社会性を習得する遊びを身につけていきます。しかし、こうした学習をする前に人間に飼われた場合には、飼い主さんが母猫や兄弟猫の代わりをしてあげなければなりません。また、猫は遊びを通して、社会性を身につけるだけでなく、運動能力を高めたり、本来狩猟に使われるエネルギーを発散したりしています。飼い主さんが猫と一緒に遊ぶことは、その猫にとって大切な生活行動のひとつでもあるのです。


手始めはケンカ遊びを

では、どうやったら猫の「遊ぼうよ」の気持ちを受け止めることができるのでしょうか?答えは『猫の兄弟になったつもりで一緒に遊ぶ』ことです。猫が手に向かってガブッと咬みついてきたら、その直前の絶妙なタイミングで手を引いてみましょう。「もう少しだったのに~、失敗した!」と猫に思わせることが大切です。猫は、「次は失敗しないぞ!」とケンカ遊びにさらに夢中になることでしょう。出している手を引く以外に、反対に手を引かずゲンコツにして猫にかませ、押したりもしてみましょう。すると猫は反撃されたことでさらに夢中になるでしょう。こういう駆け引きこそが遊びです。人が楽しみながら遊んであげれば猫もその楽しさに同調し、同じように楽しくなるのです。


狩猟本能を引き出す「おもちゃ」を使おう

動く獲物を捕まえたいという行動が猫の狩猟本能で、それが満たされたときにこの上ない満足感と快感を得ます。ということは、猫の遊び道具であるじゃらし棒や鈴の入ったプラスチックボール、または市販のおもちゃに頼らなくても紙を丸めたものやスーパーのビニール袋などの「おもちゃ」アイテムに、獲物そっくりの動きをさせれば、猫の狩猟本能を最大限に引き出すことができ、そうすれば猫も大満足で楽しくなるのです。また、猫は獲物を「形」ではなく「動き」で認識するため、おもちゃの形がどうであれ、獲物そのもののように何パターンもの動きでうまく操れるかが重要なポイントになります。猫を飽きさせずに上手に遊ばせるには、獲物となる動物の動き方の特長まで知らなければならないのです。


遊びの達人になろう

獲物は逃げて行くもので、近寄ってくるものではありません。まずおもちゃを猫から遠ざけるように動かし、動かすリズムもゆっくり動かしたり素早く動かしたりします。イメージは「ネズミ」「ヘビ」「虫」「鳥」などの動きです。チラチラ見え隠れさせ、もったいぶった演出もしてみましょう。獲物がササッと入りこんで見えなくなったり、ピョーンと高く飛び跳ねたりする瞬間は、猫が「いまだ!」と思う瞬間で、必ずといってよいほど飛びついてきます。常におもちゃに「獲物」をイメージし、それを動かす飼い主さんは獲物になりきった気持ちになることが、猫を楽しく遊ばせる達人になる秘訣です。


遊び相手に疲れたら

とはいっても、疲れていたり体調が優れない日など、猫の相手ができないときもありますよね。そんなときは、あまり労力を使わずに遊んであげるおもちゃを作ってみましょう。

スリッパや足首にヒモを結び付けて先端におもちゃをつけると、飼い主さんが動いたときだけおもちゃが動き、猫も十分遊ぶことができます。足におもちゃを結び付けてストレッチをする、なんていうのもよいでしょう。ただし、このときに気をつけたいのは、ヒモの先につけるおもちゃは、猫の爪が引っかからないものを選ぶことです。爪が引っかかっているのを気づかないまま歩いていると、猫がケガをしてしまう危険性もあるので注意しましょう。


環境にも猫が楽しくなる空間を

すぐれたジャンプ力をもつ猫は、上下運動も大好きです。飛び上がったり飛び降りたりできるスペースや、市販の猫用タワーを用意したり家具を階段のように並べて上り下りできるようにしましょう。タンスや棚の上は猫が登ってもよいように、日頃から物を置かないように片づけておきましょう。また、箱や袋の中に入ることが好きな猫は多く、気がつくと中に入っていることもあります。「中に何が入っているのかな?」という好奇心をかき立てますし、袋のカサカサという音は獲物の動きを連想させ、猫もワクワクしてくるのです。箱や袋を使って一人で遊ばせるのも、単独生活を好む猫にとっては快適な空間になるでしょう。


過度な遊びは注意!

猫の狩猟本能を刺激する激しい遊びを過度に行うと、攻撃性の強い猫に育ってしまう可能性があります。なので、あまりに興奮させ攻撃性を刺激する遊びは控えた方がよいでしょう。しかし、遊びで猫本来の狩猟本能を満たしてあげないと、有り余ったエネルギーを発散するために家族や来客の足を狙って飛びかかってくるといった攻撃行動に出ることがあるため、猫のご機嫌をみながら遊び方のパターンや方法を変えてみましょう。

また、光が出るおもちゃなど猫が捕らえられないものばかりで遊ぶとフラストレーションが溜まりストレスになってしまうこともあります。猫と遊ぶ際には「獲物を捕まえられた」という達成感を味わわせることも大切です。


高齢になってきたら、動く遊びよりスキンシップを

年をとって老齢期になると、次第に遊ばなくなってきます。動きたがらなくなったら、運動量を減らして、精神的な満足や喜びを与えるスキンシップの機会を増やしてあげましょう。やさしく声をかけ体を撫でられるだけで、猫は十分に満足します。


まとめ

もともと猫はとても冒険心が強い生き物で、遊びが大好きです。そして飼い主さんがペットに対し満足する遊びを提供することは、健康管理をすることと同じくらい大切なことです。

また、一緒に遊んだりスキンシップをするうちに、猫の性格や好みもわかってくるでしょう。

毎日の遊びを通してコミュニケーションをとることで、愛猫との絆を深めていきましょう。

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