愛犬に玄関先で「行かないで」という目で訴えられると、ついつい「ごめんね」と、大げさに抱きしめてしまう方が多いのではないでしょうか。実はこれ、犬をしつけるためにはしてはいけないことなのです。お留守番は「さりげなく」「意識させない」ことがコツです。
今回は、犬を飼うときに必要になるお留守番についてお話します。
お留守番ができない「分離不安症」
犬が一人でお留守番をするときや飼い主さんが外出しようとするとき、あまりに寂しすぎて、不安のはけ口として問題行動をとってしまうことがあります。この症状を分離不安症と呼びます。
具体的には飼い主さんの留守中にだけ以下の行動が見られます。
・ トイレ以外のところに排泄してしまう
・ 吠え続ける
・ 物を破壊する
・ 自分の体を異常に舐める
・ 下痢や嘔吐をする
分離不安の治療および予防には、お留守番に慣らすと共にお留守番できるように成長させる育て方をする必要があります。
分離不安症を引きおこす行動
もし愛犬に分離不安の症状がある場合、外出直前のあなたの行動を思い返してみてください。帽子をかぶる、決まったカバンを持つ、鍵掛けから鍵を取るなどの決まった行動を取っていないでしょうか?
これらの行動は飼い主さんがいなくなる信号として犬の不安を高めてしまいます。もしこういう決まったパターン行動があれば、それを使ってわざと不安感を崩してあげることが有効です。例えば意味もなく帽子を何度も取り上げて行ったり来たりする、カバンを持って一緒に散歩に行く、鍵を持ってほんの一瞬外へ出てすぐ帰ってくるなどです。
お出かけは「さりげなく」
冒頭でお話しましたが、愛犬をお留守番させる際に大げさに振舞うことは誤った行動です。「あなたをひとりにさせますよ」「ひとりっきりは寂しかったよね」と愛犬に伝えていることになるからです。
外出前は、帰宅後はできるだけ「さりげなく」「いつも通りに」行動するようにしましょう。出かけるときは黙って自然に外出してください。帰ってきて30分くらいは大げさに声をかけたりすることなく、普通に過ごしてしばらくしてから声をかけてください。
犬の精神面を育てましょう
まずは、ひとりで過ごすことができるよう育てることが大切です。在宅中もわざと別室で過ごしたり、ケージの中に入れたりして「ひとりの時間」を少しずつ増やし、自立心を育てましょう。
できればお留守番時には必ずケージの中で過ごさせるようにしましょう。そうすることで誤って電気コードをかじってしまったり、床上の小さいおもちゃなどを飲み込んだりする危険を排除することができますし、大切な物を壊されたり、盗み食いしたりする心配もなくなります。なによりも愛犬を落ち着いた場所で過ごさせることができます。
まずはハウスを「安眠できる場所」として覚えさせ、リラックスできるように練習しましょう。これを“クレート・トレーニング”と呼びます。
なかなか入らないからといって無理やり押し込んだりしてはいけません。犬も意地になって嫌がり、ケージが嫌いになってしまいます。
はじめはハウスで食事を与えたりガムなどのおやつを入れたりして、「ケージ=心地よい場所=自分の居場所」と覚えさせましょう。
ケージにはコングなど長時間遊べる大好きなおもちゃを入れてあげるのもよい方法です。
30分間お留守番ができるようにしましょう
実は愛犬が一番不安になる時間帯は、飼い主さんが外出した直後の30分です。この時間がもっとも分離不安症の行動が現れやすいとされています。
もし、愛犬が留守番を苦手とするのであれば、この最初の30分に着目してお留守番の練習を始めましょう。
まず、声をかけずにさりげなく玄関を出ます。初めのうちは無理をせず、1分たったら戻ってあげましょう。1日1回ずつ、同じ時間を3日以上続けてください。
その後は、少しずつ時間を増やしていきます。慣れてきたら時間に長短をつけ、不規則な長さでのお留守番にも慣れさせましょう。
おわりに
どんなに愛犬がかわいくても、24時間365日一緒にいることはできません。お留守番の練習中に挫折しそうになっても、お留守番ができるようになったほうが愛犬のためということを思い出して、頑張ってください。
お留守番が愛犬にとっても飼い主さんにとってもストレスとならない状態が理想的です。
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