飼う前に知っておきたい 犬の品種と歴史

犬を家族に迎えたいと思ったとき、どんな犬にするかをどのように決めれば良いでしょうか。

犬の寿命は犬種にもよりますが、平均14歳。中には20年くらい生きる犬もいます。20年後のご自分やご家族の状況を考えたり、高齢の犬を飼うことがどんなものなのか考えることも大切です。

これから先、家族として人生を共にする犬を選ぶ時に大切なポイントは、まず犬そのもののことをよく知ることです。

そこで今回は、犬を飼う前に知っておきたい犬の品種やその歴史についてお話します。


犬の品種の数

日本国内で血統証の登録などを管理している一般社団法人ジャパン ケネル クラブの登録犬種は約140品種、世界では300種類以上もの品種があります。

犬はほかの動物と違い、体高12cmほどのチワワから70cmを超えるグレート・デーンまで、大きさや姿に幅広いバリエーションがあります。さらに、その品種がつくられた経緯などによって性格や身体の特徴も変わってきます。


犬は数万年の昔から、人のそばで共に生活してきたと考えられています。

人は狩り中心の生活から、徐々に牧畜や農業へと生活の様相を変え、生活圏も高い山の上から水辺までどんどん広がりましたが、その傍らには常に犬がいたようです。世界中のいろいろな遺跡から、人と犬が狩りなどを共にする様子が描かれた壁画や土器などが発見されています。そうした中で、人は自分達の生活に合った犬を作っていったと考えられています。

頭がよく追跡能力に優れている、吠える声が大きく獲物の場所が発見しやすい、泳ぐのがうまい、寒さに強い、走るのが早い、大きい、小さいなど、人にとってさまざまな犬と生活することでのメリットは大きいものだったようです。


さまざまな品種の特徴

<小さい品種・・・トイ犬種といわれるグループ>

チワワ、ヨークシャー・テリア、マルチーズ、トイ・プードル、ミニチュア・ピンシャー、パピヨンなど。

これらは、多くが室内でかわいがられるために作られた品種です。毛が長くて汚れやすい、寒さに弱いなど外での飼育には向かない犬種が多く含まれます。

<大きい品種・・・狩猟犬や牧羊犬など>

種々のセターやポインター、コリー、スパニエル、レトリバーなど。

これらの品種は、活発で運動好きです。犬と一緒にたくさん運動がしたいと考えるご家族に向いています。狭い部屋では飼育が難しく、散歩量も多く必要です。

<毛が長い品種・・・長毛種>

マルチーズ、シー・ズー、プードル、ポメラニアン、ヨーキーなど。

これらの犬種は美しい被毛を楽しみたいという方にはぴったりの犬種です。しかし、そのためにはトリミングサロンでの定期的なお手入れのほか、日頃のお手入れも必要です。


品種の歴史

<スポーティング・グループ(ガン・ドッグ)>

ラブラドール・レトリバー、セター、スパニエルなど。

銃による鳥の狩りが行われるようになってから、鳥を発見し、引き止め、態度で場所を示し、撃ち落とした鳥を回収するために改良された品種です。

タフで賢く、あまり吠えない大き目の犬種が好まれたていました。水に入って鳥を取ってくる犬種は、物を持ち運ぶ性質が比較的今でも強くみられます。また被毛や皮膚が水をはじきやすいためにやや脂っぽく、体温を低下させないように下毛が密に存在します。


<ハウンド・グループ(テリア種を除いた獣猟犬)>

ビーグル、ダックスフンド、グレー・ハウンドなど。

鹿やキツネ狩り、ウサギ狩りなどのために改良された品種です。嗅覚と追跡能力に優れたグループと、視覚に優れ足の速いグループとがあります。足の速いグループは一部ドッグレースのためにさらに改良されました。

このような目的から、よく吠え、好奇心が旺盛な活発な犬が多いといえます。広い所を走り回ることに幸せを感じ、人に言われる前に自分で考えて行動するタイプです。


<ワーキング・グループ>

ドーベルマン、シベリアン・ハスキー、セント・バーナードなど。

使役犬と呼ばれる人の手助けをして働くために改良された品種ですです。警察犬、盲導犬、海難救助犬、そり犬などがあります。

その目的から服従性、忍耐性を備えた賢くて丈夫な大きな犬種といえます。力が強く知恵もあるので、きちんとしたしつけが必要となります。


<テリア>

ミニチュア・シュナウザー、ワイアー・フォックス・テリアなど。

テリアとは「土を掘る」意のラテン語です。もともとイギリスの諸島部で土中や岩穴に棲息している、ウサギや鼠などの小害獣を駆除するために利用された品種です。テリア犬種が獲物を巣の奥に追いつめ、猟師はスコップで掘ったり、煙でいぶり出すことにより獲物を得ることができました。

その目的から、好奇心旺盛な敏捷で活発な犬たちといえます。比較的独立心旺盛で執着心が強い、別の言葉で表すと少し頑固な性質があります。また土を掘る性質は今でも強く残っています。独特の容姿が好まれ、今では愛玩犬として定着しています。


<ハーディング・グループ>

シェパード、コリー、ボーダー・コリーなど。

牧羊犬のことをいいます。工業化以前のヨーロッパでは牧畜は主要な産業のひとつで、牧羊犬は欠くことのできない存在でした。

草原や山岳地帯を中心に行われて来た牧畜業は、常に多くの種類の外敵や強奪者たちの攻撃にさらされてきたため、鋭い嗅覚、聴覚を利用して家畜群を監視し、外敵から守っていました。

また、牧舎から牧草のある場所へ誘導して放牧し、再び群れにして牧舎に戻すまでの、機械化することのできない作業を牧羊犬がこなしていました。

人に指示されることを喜び、多くの運動量を必要とします。テリトリー意識や支配性が高いため、飼い主さん以外の人からはやや神経質を見られることもあります。


<おわりに>

犬の品種や特徴、歴史についてなどおわかりいただけたでしょうか?

必ずしも上述した特徴に当てはまるとは限りませんが、犬を飼う前にどんな品種が自分に合っているか参考にしていただけたらと思います。

最近では純血種同士のミックス犬も増えています。両親の犬種の性格や身体の特徴を参考にするほか、かかりやすい病気も調べておき予防を心がけましょう。

また、純血種以外の日本犬のミックス(雑種と呼ばれている犬たち)も根強い人気があります。純血種にはない「唯一無二」感や、病気のかかりにくさなどが理由です。ただ、両親の詳細を分からずに保護されるケースが多いため、どのくらいの大きさに成長するかの判断が難しい場合もあります。

見た目の好みも大切ですが、「飼育環境(スペース)」「運動量」「手入れの頻度」のほか、体の大きさにより「食事量(食費)」「投薬量(治療費)」も大きく変わってくるため、経済的な面でもよく考えて選ぶ必要があります。

自分や家族にピッタリの犬と出会い、長く幸せに暮らせると良いですね。

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