シェットランド・シープ・ドッグについて

シェットランド・シープ・ドッグは通称「シェルティー」といい、小さなコリー犬として日本国内では常に高い人気を誇っています。風になびく豊かな毛並みに、いかにも賢そうな鼻筋の通った顔立ちは、非常に気品のある犬種です。


シェルティーの歴史

シェルティーはイギリス・スコットランドのシェットランド諸島出身の牧羊犬です。シェットランド諸島は岩場が多く、風の強いで気温が低いため農作物も育ちにくい厳しい環境でした。羊や馬などの家畜も体の大きさは小さかったため、生息している犬も他の地方の牧羊犬よりも小柄でした。サモエドなどのスピッツタイプの犬、さらにコリー犬をミックスして作られたと言われています。よく、コリー犬を小さくしたものがシェルティーであると言われていますが、もともとのイギリスの牧羊犬を大型化したものがコリー犬で、シェルティーは元の犬をさらに小さく改良したものというのが、ルーツのようです。

1909年にイギリスのケンネルクラブでシェットランド・コリーとして公認され、数年後に今のシェットランド・シープ・ドッグという名前になりました。

日本へは昭和33年に紹介されました。当時、海外ドラマでコリー犬の美しさと優秀さに憧れを抱いていた人たちは、その小型版としてシェルティーを迎え、たちまちその人気は不動のものとなったのです。


シェルティーの特徴

シェルティーと名乗るには大きさが厳密に決められていて、体高が33.0~40.5cmであることが定められています。それだけならば小型犬の仲間ですが、体重は10kg前後あり、ほんの少しだけ体長が体高よりも長く見えます。後ろ足の筋肉はよく発達しており、運動能力が非常に高く、特に瞬発力、忍耐力、敏しょう性に優れています。深い茶色の瞳はとても知性的で表情豊かです。


牧羊犬の本能

牧羊犬は人の指示に従って、家畜の群れをコントロールするように訓練されるため、基本的には非常に理解力が高く、なおかつ人に対して従順です。しかし、何もしつけを行わないで運動も不足すると、かえってストレスが溜まり、トラブルを起こすようになってしまいます。動き回るものを吠えたり、噛んだりしてまとめようとする本能が強いため、人に危害を加える犬になってしまうこともあります。基本的なしつけをきちんとすると共に、積極的にいろいろなトレーニングをしてあげましょう。アジリティー競技やボール競技などに参加するのもよいでしょう。


美しい毛並み

シェルティーの一番の特徴は、胸としっぽの豊かな白い飾り毛でしょう。シェルティーの被毛はまっすぐで硬い上毛とふかふかで短い下毛からできており、この美しさをキープするには毎日のブラッシングが欠かせません。

毛色でよく知られているのは、明るい茶色で毛先だけに黒が混じっているセーブルという毛色です。そのほかにも黒と茶と白からなるトライカラーや、灰色のベースに黒い毛が大理石模様に散らばっているブルーマール、ブラックアンドホワイト、ブラックアンドタンなども最近は見かけるようになりました。


独特の耳の形

シェルティーやコリーの耳は「セミプリックイヤー」と呼ばれ、頭の上のほうについた立ち耳の上4分の1だけが前に垂れています。時折、まっすぐに立ったままの耳や大きく垂れ下がった耳を持った子もいて、ショーに出場させる子はこの形をきれいに整えるために、成長期にテープで留めて固定することもありますが、通常のペットとして飼うのであれば、あまり気にすることはありません。


よく吠える!?

シェルティーは「よく吠える犬」といわれてしまうことがあります。確かにもともと番犬の役割もしている上に、やや神経質な面もあるため、道行く知らない人に吠えたり、家族が外から帰ってきたときによく吠える子もいるようです。声が比較的甲高くて大きいため、そのことが時としてご近所とトラブルになることも多いようですが、もともとは賢い犬種なので、小さい頃からしっかりとよいことと悪いことを教えるようにすれば、無駄吠えをしないようにすることも可能です。


気をつけたい病気

一部のフィラリア予防薬に対しては過敏反応をおこすことがあるので、予防薬を処方してもらう際には必ず獣医師に確認をとるようにしましょう。

また、豊かな被毛は手入れを怠ると汚れや蒸れからくる皮膚病の原因となるため、日頃のお手入れには気をつけましょう。

また、高齢になると白内障や変形性関節疾患もよく認められるため、定期的な健康診断は必ず受けるようにしましょう。


まとめ

賢いと言われる犬ほど、飼い主さんがきちんとしつけをしていかないと、ただのわがままな犬になってしまいます。シェルティーは賢い上に人と常にコンタクトを取ろうとする犬なので、それに十分に応えてあげましょう。

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