皆さんもご存知の通り、犬は普段4本の足で歩いています。
ではその4本の足をどのように動かしているか、ちゃんと見たことはありますか?
ゆっくり歩く時と走る時では、足の動かし方が違うということをご存知でしょうか?
今回は「犬の歩き方」についてお話します。
実は何種類もある、犬の歩き方
・年をとった犬がゆっくりと歩く時に、4本の足を1本ずつ動かす歩き方
・ドッグショーに出場している犬が、前足をぴーんと伸ばして大またで歩く歩き方
・ドッグランで遊んでいる犬が、空を飛ぶように全身を空中に浮かせる走り方
実はこれらの歩き方には名前があって、それぞれの場合に4本の足の踏み出す順番も決まっているのです。
【ゆっくりとした歩き・並歩(なみあし・ウォーク)】
動かす足の順番は、左後足→左前足→右後足→右前足 です。
犬の種類によっては後足と前足がほぼ同時に出る場合もあるようですが、必ず2本以上の足が地面についているため、1本の足にかかる負担も少なく、さほど疲れません。体の重心移動が少なく、あまり胴体を揺らさずに歩く事が出来ます。スピードは出ませんが、普段歩く時にはだいたいこの歩き方です。
【すたすたとした歩き・速歩(はやあし・トロット)】
動かし方は、左後足+右前足→右後足+左前足 です。
斜め向かいの足同士2本がペアとなって、一緒に動いていきます。よくドッグショーでぐるぐる歩いて見せているのが、この歩き方です。並歩よりも歩幅が広くなるため、やや早く歩く事ができ、比較的長い時間を続ける事もできます。お散歩中、ずっと速歩という子もいるかもしれませんね。
オールド・イングリッシュ・シープドッグなど、いくつかの品種(大型犬が多い)では、ときおり通常の速歩ではなく、左後足と左前足→右後足と右前足 というように片側の前後の足同士がペアとなるような速歩をすることがあり、この場合は側対歩(そくたいほ・アンブル)と呼ばれます。通常の速歩よりもやや体が左右に揺れるような歩き方になり、犬種によってはショーで失格となったりすることがあります。
【元気に走る・駈歩(かけあし・キャンター)】
動かし方は右前足→左前足→左後足→左前足 です。
1本ずつ足を地面につけて蹴るようにして走り、必ずどれかの足は地面についています。速歩では追いつかないときなどに使い、体をリズミカルに上下させて走ります。
【最も速く走る・襲歩(しゅうほ・ギャロップ)】
動かし方は駈歩と同じで、右前足→左前足→左後足→左前足 です。
駈歩と異なるのは、一瞬ですが4本足全部が空中に浮かんでいる状態があることです。全身をばねのように使い、体を思いっきり伸び縮みさせて走るため、スピードはとても速くなります。世界で一番速い犬といわれるグレイハウンドはこの走り方で時速60キロ以上も出るそうです。しかし、その反面、体力をとても消耗するため持続する事はできません。
ドッグショーでの歩様審査
ドッグショーに出場する犬にとって、歩き方はとても大切です。「どれだけ胸を張って歩けるか」「前から見たときに一直線上をまっすぐに歩いているか」など、いろいろなことが審査基準になるからです。
歩様審査には3種類の項目があります。
①アップ・ダウン:直線を行って帰ってくる
②トライアングル:直角三角形をぐるっと回ってくる
③ラウンド:四角をぐるぐる回る
これらの歩き方・走り方を見て審査されます。
歩き方に注意してみよう
ドッグショーに出ない子でも、歩き方を確認するのは普段の健康管理としてとても大切な事です。たとえば、今までより歩幅が狭くなってちょこちょこした歩き方になっている場合は、肩や腰の関節に異常があるのかもしれません。妙に腰をくねくねと振って歩いていると思ったら股関節の病気になっていることもあります。犬は4本足で歩くので、わずかな異常は意外と見逃されがちです。獣医師でも、歩き方を前と横からじっくりと観察して初めて足の病気に気が付くことがあります。
普段からお散歩の時に、
・4本足を均等に使っているか
・歩き方がリズミカルかどうか
をチェックしてあげてくださいね。
おわりに
犬の歩き方・走り方はそれぞれの子で個性があります。
愛犬の歩き方・走り方の仕組みをよく理解して、飼い主さんが日頃からチェックをしてあげることで、足に異常がある場合、すぐに見つけてあげることができますね。
元気に運動ができることは心の健康にもつながります。愛犬の健康をしっかりと維持してあげましょう。
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