災害で活躍する救助のプロ『レスキュードッグ』とは

近年、日本各地で地震や大雨などの災害が多く発生しています。
その時に大活躍したのがレスキュードッグと呼ばれる犬達です。彼らは瓦礫や土砂の中に埋もれた人を発見し、助け出しました。
今回はそんな『レスキュードッグ』についてお話します。


レスキュードックとは?

災害救助犬ともいい、地震や台風、土砂崩れなどの災害で倒壊した家屋や土砂等に埋もれて行方不明になっている人を、優れた嗅覚で捜索しその救助を助けるように特別に訓練された犬たちです。

日本には現在、大きな災害救助犬協会が4団体(全国災害救助犬協会、ジャパンケネルクラブ、日本救助犬協会、日本レスキュー協会)が存在します。また、都道府県レベルで独自に活動している協会も多数あります。 


レスキュードックの仕事内容とは? 

レスキュードックの仕事は、地震や土砂災害などの災害で倒壊した家屋や土砂に埋もれた人を嗅覚を利用して捜索することです。

空気中に漂う浮遊臭を元に、埋もれている不特定多数の人間の臭いを嗅ぎ取り、行方不明者を探します。捜索は指導士と一緒に行い、レスキュードックが瓦礫の隙間から行方不明者の臭いをキャッチすると、その場所を吠えて指導士に知らせます。指導士は、レスキュードックの行動を観察しながら、より強い浮遊臭を探させます。

レスキュードックは、作業している人間、通行人には反応しません。訓練の過程で、状況を把握できる能力を身に付けています。


レスキュードックになるための訓練方法

レスキュードックに必要とされる動作は、【服従】【捜索】【吠える事】です。よってこの動作を覚えておかなければいけません。

家庭犬では飼い主の言うことを良く聞いたり、吠えないように服従訓練をしますが、レスキュードックの場合は、被災地での犬の安全確保のために、服従訓練をすることが第一条件になります。レスキュードックになるためには、基礎的なトレーニングの後、対象となるエリアによって、災害救助、原野救助、雪崩救助など特別なトレーニングが必要です。

訓練するときは、犬が無理に作業をさせられているという感じではなく、自主的に楽しく作業ができるように、また捜す対象が人なので、絶対に人が恐いものと思わないように、人が大好きになるように訓練しなければなりません。

レスキュードックの訓練は、不特定多数の人を探し出す訓練をしていくため、訓練には必ず隠れる人が必要です(人形では、人特有のにおいを発することができません)。また、様々な人や状況で反応できるように訓練するため、隠れ役もお年寄りから子供まで、様々なケースで訓練する必要があります。

訓練というと難しいイメージがありますが、最初はボール遊びなど楽しく遊ぶことからはじめ、少しずつ人を探し吠えて知らせると遊んでもらえる事を覚えさせ、楽しみながら行う事が重要です。


レスキュードックに適した犬種

現在、レスキュードックをしている犬種はラブラドール・レトリバーが多いのですが、基本的にはどのような犬でもレスキュードックになることが可能です。

レスキュードックに適しているのは、他の人や犬に対して友好的で、なおかつ大胆で行動力のある賢い犬です。臆病で落ち着きがない犬は救助犬には向きません。

嗅覚がよく、自分から積極的に動きまわる行動力、強い意欲と持続性、捜索活動に耐えうる十分な身体能力、明確で冷静な判断力等が捜索を仕事とする犬には欠かせない要素です。このような条件さえ満たしていれば、救助犬は犬種を問われることはありません。

また、小型犬は大型犬では入り込めないような隙間に入り込んで捜索する事が可能なため、様々な犬種がレスキュードックには必要だともいえます。また、最近では保健所等に保護された家族のいない犬たちが訓練を受けてレスキュードッグになり活躍することもあるそうです。


おわりに

レスキュードックは地震や土砂災害などの災害で助けを求めている人を、人の100万倍とも1億倍ともいわれる嗅覚を利用して発見することができます。
いろいろな災害救出方法のなかでも、広範囲の中から人のいる場所を探し当てる能力に関してはレスキュードックに勝るものはありません。行方不明者の捜索は時間との戦いです。レスキュードックに捜索してもらうことで迅速な救出作業が可能になり、救助するための時間が短くなれば、少しでも多くの命を救う事ができます。
ですが、日本ではまだまだレスキュードッグの知名度が低く、災害現場での受け入れ態勢も十分ではありません。私たち人間のために危険な現場で働いてくれる犬たちに感謝することはもちろん、その活動を知り理解することが、レスキュードッグ普及の第一歩ではないでしょうか。