正しいご褒美のあげ方

褒めることはしつけの基本ですが、言葉に加えておやつを与えることもあるでしょう。犬は褒めてもらうことで、人のことが大好きになり、自発的に良いことをするようになります。しかし、しつけにおやつを使う際には気をつけなければいけない点があります。


おやつの種類

おやつといっても、犬のおやつは色々な種類があり、ご褒美として与えるおやつを選ぶ時に重要なことが2つあります。


おいしいおやつ

どんなに高価なおやつでも、犬がおいしいと思うものでなければご褒美にはなりません。まずはその子がそれを好きかどうか確認しましょう。毎日食べているフードがとても好きなら、それを少量取り分けてご褒美として与えても構いません。

また、犬が好きなおやつはできれば数種類あるとよいでしょう。「好き」なおやつだけでなく「大好き」なおやつがあると、普段よりも長く「まて」ができたときなどに「大好き」なおやつを与えることで、メリハリのあるしつけをできるようになります。


小さいおやつ

どんなに大好きなおやつでも、さっと与えることができなければご褒美になりません。また、大きなおやつを与えるとなると一日に何回もあげることはできません。そのため、ジャーキーのような比較的固く、小指の爪程度に小さく切って、少量ずつあげることのできるものを選びましょう。


おやつの量

おいしいおやつは高カロリーなものも多いため、ご褒美として与えるおやつも一日の食事のひとつと考えないと、必要以上にカロリーを摂取することになります。そのため、ご褒美におやつをあげた日は、その量に合わせて食事の量を減らすようにしましょう。

家族全員がそれぞれしつけを行い、ご褒美を与える場合は、誰がどれだけ与えたかを把握しておくだけではなく、一日で与えるご褒美の量をあらかじめ決めておくのが効果的です。小さなビンに一日量を入れておき、しつけをする人はそこから取り出してご褒美として使うようにするとよいでしょう。


ご褒美をあげるタイミング

ご褒美は、良いことをした直後にあげないと意味がありません。正しいタイミングであげないと、犬はなぜご褒美をもらえたかを正しく理解することができないからです。そのため、しつけをするときやお散歩に行くときには、少量のおやつをポケットやウエストポーチなどに忍ばせておき、いつでも取り出せるようにしておきましょう。

また、ご褒美はあくまでもよいことをしたときだけにもらえるおやつなので、普段から頻繫にあげたり、犬に勝手に探られたり盗み食いされないようにしましょう。


間違ったご褒美の与え方

ご褒美を使ったしつけで一番多い失敗は、犬が何もよいことをしていないのに、ただおやつだけをしつこくねだるようになってしまうことです。しつけの時にご褒美を与えた後で、さらにねだられておやつをあげてしまうと、ねだることでおやつがもらえると勘違いしてしまいます。そのため、お座りをしたことをほめるのであれば、座らせたままの状態でおねだりをする前にご褒美をあげるようにしましょう。


おやつ=ご褒美

また、もう一つ失敗としてありがちなのが、おやつを持っていないと飼い主さんの指示を聞かなくなってしまうということです。ご褒美をあげるときにおやつを与えることだけしかしていないと、このようなことになってしまいます。ご褒美とは犬が喜ぶことすべてを指します。おやつをあげながら褒める、体を撫でてあげる、その後におもちゃで遊んであげる、これらすべてが犬にとってはうれしいことなのです。そのため、おやつはお腹を満たすものではなくコミュニケーションの一つと考え、たまにはおやつを与えずに遊びやボディタッチだけでほめるようにすると、おやつだけを欲しがるようなことはなくなるでしょう。


おやつを使ったしつけの例

おやつを利用することで、簡単にできるようになるしつけもたくさんあります。たとえば、おすわりを教える際は、手におやつを持ってそれをゆっくりと犬の頭上に持っていきます。すると、おやつを見ている犬は自然と視線が上になり、腰を落とします。「おすわり」と声を掛けながら、ちゃんと座ったらすかさず手に持ったご褒美をあげるようにします。


まとめ

ペットがよいことをしたら、たくさんほめてあげたくなり、ついおやつを与えすぎてしまう飼い主さんもいるでしょう。しかし、ペットの健康管理を考えながら食事やおやつを与えなければいけません。その上でしつけ時のコミュニケーションとしておやつを使うと、さらに信頼関係が深まるかもしれませんね。