青みを帯びた灰色に輝くベルベットのような毛並みは高貴な雰囲気を漂わせ、名前の通りロシアの貴族を思い出されます。今回は、遠い北の国からやってきた猫、ロシアンブルーのお話です。
歴史
ロシアンブルーの起源についてはさまざまな説がありますが、一番有力な説はロシア北部のアルハンジェル島に自然発生したというものです。1860年代にロシアの船乗りによってイギリスや北欧に連れていかれ、その美しさから飼い猫として広まり始めたといわれています。始めの頃はアルハンジェルキャット(英語ではアークエンジェルキャット)、フォーリンブルー、スパニッシュキャット、マルティーズキャットなど、さまざまな呼び名がつき、1875年にはアークエンジェルキャットとしてイギリスのキャットショーに初めて出陳されました。その後、ロシアの皇帝が飼っていたことに由来して、イギリスでロシアンブルーと名づけられました。
第二次世界大戦中には一度個体数が激減し、絶滅の危機にさらされましたが、イギリスやアメリカで絶滅しないように交配が行われました。そのため、もともとのロシアンブルーに比べて今のロシアンブルーのほうが幾分ほっそりとした体型になっており、今のロシアンブルーの起源はロシアではなくイギリスであるともいわれています。
特徴
体つきはほっそりとしたフォーリンタイプの猫で、目はまん丸で大きく表情豊かで、エメラルドグリーンに輝いています。鼻は前から見ても横から見てもまっすぐで、横から見ると頭から額にかけてのラインも直線的でヘビの頭に似ていることから「コブラヘッド」と称されることもあります。大きな三角形の耳は非常に薄く、逆三角形の小さな頭についています。口角はやや上に上がっていてにっこりと微笑んでいるように見えるため、この特徴的な顔つきは「ロシアンスマイル」といわれています。四肢は細く長く、筋肉質でしまっており、歩く姿はとても優美なイメージを与えます。しっぽも同様に長くてしなやかですが、根元は太く先に行くにしたがって細くなっています。
ブルーと呼ばれる毛
ロシアンブルーの特徴は、ブルーと呼ばれる灰色の毛色です。毛の一本一本を見ると、それぞれに灰色の濃淡の帯がついているため、全身を見ると銀色に輝く深みのある青灰色(ブルー)に見えるのです。ブルーにも濃いものからシルバーに近い薄いものまでありますが、薄いほうがよりスタンダードに近いといわれています。ごくまれにブラックやホワイトなどの毛色や、シャム猫のようなブルーポイント(手足、顔などの一部の毛のみがブルーになる)の毛色が生まれてくることがありますが、これらはロシアンブルーとは認められていません。
ブルーの毛色の猫は他にもフランス原産の「シャルトリュー」やタイ原産の「コラット」が知られていますが、日本では今から約25年程前に紹介されたロシアンブルーが一番広く知られています。
トップコートとアンダーコートのダブルコートは絹のように細い毛が非常に密に生えており、寒さから体を守るようになっています。アンダーコートがあまりに厚いため、多少濡れても地肌には水分が届かないほどです。
性格
ロシアンブルーは、一般的に人に対しては非常に従順でおとなしい性格であるといわれています。常に飼い主さんと一緒にいることを好み、「犬のように忠実な猫」といわれることもあります。非常に賢く、飼い主さんの言うこともよく理解するため、小さい頃からグルーミングなどのしつけをきちんと教えると、人とさまざまなゲームができるようになるようです。また、めったに自己主張をすることもないため、鳴かない猫「ボイスレスキャット」と称されることもあります。
一方で、飼い主さん以外の人や他の猫に対してはやや高圧的で神経質な子もいるようです。人見知りが激しく、お客様などに対しては慣れるまでに長い時間を要す場合もあることを理解してあげましょう。
かかりやすい病気
ロシアンブルーは、一般的に丈夫で、あまり病気をしないといわれています。しかし、欲しがるままにごはんを食べさせているとあっというまに肥満になってしまい、肥満は関節疾患や糖尿病など他の病気の引き金になることもあるため、食事管理にはくれぐれも気をつけなければいけません。
また、尿路結石症などの泌尿器疾患が見られることもあるため、トイレの回数やおしっこの出方などには常日頃から気をつけてあげましょう。
まとめ
ロシアンブルーは飼い主さんにとても忠実な猫です。しつけも比較的簡単で、お手入れも毎日ブラッシングをする程度でそれほど大変ではありません。猫をお迎えしようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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