犬の祖先は一般的にオオカミと考えられています。犬種によっては大きさや顔つきなどがオオカミとは全く異なるものもありますが、行動や性質には共通点があります。
今回は犬の祖先であるオオカミについてお話します。
オオカミの種類
*ハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)
ハイイロオオカミは最大で最強のイヌ科動物といわれています。
一般的に「オオカミ」というとハイイロオオカミのことを指します。
【分布】
熱帯雨林と砂漠以外の北半球全域
森林・平野やツンドラなどに生息
【生態】
オスとメスのペアを中心とした2~20頭ほどの群れをつくる
それぞれの縄張りを持ち、縄張り外から来たほかのオオカミを追い払う
【形態】
体長:100~160cm 体重:25~50kg ほど
犬に似ているが、体は細く、手足の指が長い
12~15cmほどの長さのタテガミがある
大型のシカ類を捕食するのに適応・進化してきた
*アメリカアカオオカミ
野生のものは現在絶滅していると考えられています。
【分布】
アメリカの沿岸平野や森林などに生息していた
【生態】
オスとメスのペアとその子どもを中心とした小規模な群れをつくる
【形態】
体長:95~130cm、体重:体重18~41㎏ ほど
ハイイロオオカミより小さく、褐色の毛が混ざる
*タテガミオオカミ
名前にオオカミとついていますが、オオカミよりもキツネに近い種類です。
【分布】
南アメリカ、ブラジルからアルゼンチンにかけて湿地や草原に生息
【生態】
夜行性で昼間は茂みの中などで休んでいる
動きが速く、時速90km以上の速度で跳ねるように走行できる
雑食性で、果実・昆虫・貝類・両生類・小型の哺乳類などを食べる
【形態】
体長:120~130㎝ 体重:20㎏ほど
細長いスリムな脚をもつ
*ニホンオオカミ
明治時代に絶滅したとされています。
【分布】
日本本州の東北地方から四国、九州まで幅広く生息していた
【生態】
2~10頭ほどの小規模な群れをつくり行動していたとされている
主にニホンジカを獲物としていたが、人里におりて犬や馬を襲うこともあった
生態については謎な部分が多い
【形態】
ほかの地域のオオカミよりも小さく、中型の日本犬ほどの大きさ
脚が長く、脚力も強かったといわれている
尾は背側に湾曲し、先が丸まっている
耳はほかのオオカミよりも短く丸い
オオカミと犬の共通点・相違点
オオカミと犬には具体的にどのような共通点があるのかご説明します。
まず、骨や歯の形や数が同じです。骨格の共通点として、足の指や爪が出たままになっている点も挙げられます。体の特徴としては、皮膚に汗をかくための腺(汗腺)をもっていないところも共通しています。
身体能力の共通点は、足の速さと持久力の高さ、優れた嗅覚によって臭いで獲物を追跡できる点が挙げられます。
また、犬も本来は群れをつくり行動する動物です。群れの構成や順位付けも、オオカミと共通しています。
では、相違点はどんなところがあるのでしょうか。
<耳>
オオカミ:立ち耳 犬:垂れ耳が多い
<輪郭>
オオカミ:口吻が長く、シャープ 犬:丸顔が多い(人間の好みで改良されたため)
<尾>
オオカミ:まっすぐ伸びている
犬:巻尾が多い(親の気を引きつけるため)
<交尾期>
オオカミ:交尾期は年1回。成熟を迎えるまでにメスは生後2年、オスは生後3年かかる
犬:交尾期は年2~3回。生後7ヶ月くらいから性的行動が見られる
そのほかにも、野生で生きるオオカミのほうが肉類の消化能力が高く、犬は肉類以外のものも消化できるように消化器官が発達していたり、狩りをする必要がなくなった犬のほうが脳が小さくなっていたりと環境に合わせて変化したことによる違いもあります。
オオカミの社会
オオカミは社会性が強く、群れを作って生活します。そのため、群れで狩りをするために欠かせない複雑なコミュニケーションを発達させ、効率の良い狩りの戦略をあみだしたり、獲物の分配システムを作り出しました。オオカミのこれらの習性や行動などは、人間社会とよく似ています。
まとめ
犬の祖先オオカミについて簡単にご紹介しました。オオカミが群れを作り、コミュニケーションを発達させたからこそ、オオカミを祖先にもつ犬が人間社会に順応し、人間のパートナーになったと言えるのかもしれませんね。このように、人と共存するために長い時間をかけて進化を遂げてきた犬の歴史を考えると、ますます愛犬がかわいく見えてくるのではないでしょうか。
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