私たち人間にも逆さ睫毛(まつげ)が生える場合があります。逆さ睫毛とは、本来外側を向いているはずの睫毛が眼球に触れている状態のことをいいますが、犬でも同様に起きている子がたくさんいます。この逆さ睫毛を医学用語では「異常睫毛」と呼びます。異常睫毛には色々なタイプがありますが、大きな問題点はみな同じで、眼球を傷つける可能性があるというものです。
今回はこの異常睫毛についてお話したいと思います。
異常睫毛にはいくつかパターンががあるのはご存知でしょうか。
・重生睫毛
通常の睫毛が生える位置より眼球側(内側)にあるマイボーム腺という所からも睫毛が生え、二列になっているパターン。
・異所睫毛
普通睫毛が生える孔とは全然違うところから睫毛が生えてしまっているパターン。まぶたの裏側から生えてしまったりする。
・睫毛乱生
正常な場所から生えているが、正常と違う向きに生えるパターン。
症状
異常な生え方の睫毛は眼球の方に向かって生えてくるので、眼の表面(角膜)に触れるうちに角膜に傷を作ってしまいます。
角膜の傷はごく浅いうちに気が付いて治療を開始すればすぐ治りますが、見逃してしまうとどんどん深くなります。すると細菌感染を起こし、穴があくスピードはいっそう早くなります。これを角膜潰瘍と呼びます。
角膜潰瘍はさらに進行すると角膜に完全に穴が空くこともありますし、治っても眼の表面に白く傷跡が残ってしまい、最悪、失明の危険性が出てきます。
初期症状は眼を擦ったり、眩しそうに眼をつぶりぎみに瞬かせたりする、涙目などです。
細菌感染が起きると黄色や緑の目ヤニが出てきます。眼の痛みはかなりひどくなり、元気や食欲がなくなってしまうこともあります。
好発犬種
シー・ズー、ポメラニアン、マルチーズ、ダックス・フンド、ペキニーズなどで異常な生え方の睫毛を持つ子が多いようですが、その他どんな犬種でも異常睫毛が生える可能性はあります。
もともと、眼が大きい子や目の周りに毛が多い子は、飼い主さんが異常睫毛がないかきちんとチェックしてあげましょう。
治療方法
異常睫毛が原因で眼を傷つけている場合は、原因になっている睫毛を抜いてあげる必要があります。その上で、角膜の傷の治療をします。眼は大変デリケートなので、傷が付くとあっという間に進行してしまいます。白目が赤い、何となく眼を気にするという段階で早めに動物病院に連れて行きましょう。
いつも眼の方向に向かって異常睫毛が生えてきて、毎回眼を傷つけてしまうのであれば、1カ月おきくらいに定期的に睫毛を抜いて角膜の傷を予防するとよいでしょう。
まとめ
眼が大きい犬は傷つきやすいですし、異常な睫毛が生えている子も過ごしているうちに、いつの間にか傷の原因となっている場合があります。
傷の位置がいつも同じなら、一度よく愛犬の眼を見てあげてください。
正しい知識と毎日の観察で愛犬の眼をきちんと守ってあげましょう。
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