犬と猫のライフステージに合わせたフードの選び方

ペットショップに行くと、犬用も猫用も本当にたくさんのペットフードが並んでいますが、愛犬・愛猫のフードを選ぶ際にはどんな基準で選んでいるでしょうか?

● 新製品だから

● おいしそうな写真だから

● 愛犬・愛猫が好きな味だから

● パッケージに惹かれた

● 価格が安かった

など、いろんな理由があると思います。

上記以外にもフードを選ぶ基準の一つに『ペットの年齢』がありますが、みなさんは年齢別のフードにそれぞれどんな違いがあるのかご存知ですか?

今回はライフステージで考えるペットフードの選び方についてお話します。


年齢別にフードを変えなければいけない理由

犬や猫は、離乳をしてからどんどん体が大きくなる時期と、大人の体が出来上がって安定している時期、歳をとってだんだん全身の代謝量や運動量が減ってくる時期では、必要なカロリーや栄養バランス、ビタミンやミネラルの必要量が変化してきます。

もし大人の子にいつまでも成長期用のフードを食べさせていたら肥満になってしまいますし、逆に成長期の子に高齢用のフードを与えつづけたら、体の成長に支障をきたすだけでなく、栄養性の病気になってしまうこともあります。


ライフステージごとのフード

● 離乳期

離乳期とは、犬・猫どちらもだいたい生後1ヶ月から2ヶ月くらいまでのことを指します。お母さんのミルクは非常に栄養価が高いですが、90%近くが水分であるため、体が正しく成長するためには生後1カ月半を過ぎた頃から少しずつ固形物(離乳食)を与えはじめ、ミルクの割合を徐々に減らしていかなくてはいけません。離乳したての子犬・子猫はまだ歯が生え始めたばかりで食べ物をよく噛むことができないため、離乳食は柔らかくて高栄養で消化のよいものである必要があります。

もし、この時期に正しい栄養を十分に与えられなかったら、体が正しく成長せず、骨格が変形するクル病などの病気になってしまう可能性があります。


● 成長期

成長期とは、猫や小型・中型犬で1歳くらいまで、大型犬や超大型犬では2歳くらいまでを指します。言葉どおり、どんどん成長して体格も体重も大きくなっていく時期で、もちろんさまざまな栄養が必要となります。カロリーも離乳直後は体重あたりに換算すると大人の2倍近くが必要になりますし、体を作るためには、たん白質の割合が高いフードを摂らなくてはいけません。骨の成長のためにはカルシウムやリンといったミネラルも必要になりますが、他の栄養素とのバランスが非常に大切で、これらばかりを必要以上に与えると逆に骨の成長に悪影響を与える事もあるので、成長期用のフードにはこれらのことが十分に考慮されています。

また、たくさんのカロリーが必要になるにもかかわらず、口や胃はまだまだ小さく、歯も完全に生え揃ってはいないことから一回にたくさん食べる事はできないため、一日に何度も与えることができるように消化の良いものが作られています。さらに、犬の場合チワワのような超小型犬からグレートデンのような超大型犬がいるため、それぞれの口に入りやすい大きさのものがつくられています。


● 成犬・成猫期

成長が落ち着いてくれば、そんなに多くのカロリーは必要ではなくなります。特に避妊・去勢を行った子であれば、さらに基礎代謝量が減るために通常のフードでも太りやすくなることがあるため、ボリュームは減らさずにカロリーだけ減らしてある「ライト」と呼ばれるフードに切り替える必要があります。

日頃のライフスタイルに合わせて、外でよく運動をする子には少し栄養を強化してあるもの、逆に室内でじっとしている事が多い子にはカロリーを控えたものを選ぶと良いでしょう。

妊娠中の場合、妊娠1ヵ月目くらいから徐々にフードの量と回数を増やしてお腹の中の子に十分な栄養を届けなくてはいけなくなります。かかりつけの獣医師と相談して、必要な栄養に応じたフードの種類・量を確認するようにしましょう。


● シニア期

猫や小型・中型犬の場合、7歳から大型犬の場合は約6歳、超大型犬の場合は5歳くらいから高齢期(シニア)と呼ばれる世代に入ります。

高齢期になると犬や猫も食が細くなり、消化機能が落ちてくるので、少量でも十分な栄養が取れるような消化のよいフードが必要となってきます。

また、体のさまざまな臓器や免疫の機能が少しずつ低下してくるため、それらの機能を補うための成分が含まれているフードを選ぶ必要があります。例えば、関節が弱ってきている子にはコンドロイチンなどの軟骨の成分を添加したものや、お腹を壊しやすくなっている子には腸内細菌を整える成分が含まれているもの、免疫を強化するビタミンを添加してあるものなどを探してみましょう。

腎不全や弁膜症など加齢とともに発症がみられる、薬では治す事のできない慢性疾患に対しては、その進行を少しでも遅らせるための処方食を動物病院で扱っています。かかりつけの獣医師に相談してみましょう。


おわりに

食餌の栄養バランスは健康の基本です。現在売られているペットフードのほとんどは、それだけでペットの栄養を過不足なく摂取できるように成分が調整されています。良かれと思って野菜メインの手作り食を与えていると、かえって偏りが出てしまう場合があるので、総合栄養食をメインにトッピングする程度にしたほうが栄養面では安心です。

成長期が終わった成犬・成猫で、避妊・去勢をした子であれば、シニアになるまでは基本的に避妊・去勢後用フードで栄養バランスはしっかり摂ることができます。しかし、定期的に、動物病院で健診を受け、獣医師から何か指示があればその都度相談しながらフードを替えていきましょう。