「ドッグショー」という名称を聞いたことはあっても、見に行ったことがある方は少ないのでしょうか。今回は、ドッグショーとはどんなものか、ドッグショーの楽しみ方や見るときのポイントなどをご説明します。
ドッグショーとは?
ドッグショーとはJKC(ジャパンケネルクラブ)などの純血種の登録を行う団体が主催しているもので、その犬種のスタンダード(犬種標準)を元に比較、審査を行います。
犬のスタンダードは、その犬種の理想像として多くの愛犬家達の手によって長い年月かけて作り出されてきました。ドッグショーはそのスタンダードに近いかどうかを審査する、犬の「品評会」です。犬のブリーダー(繁殖家)の発表の場を設け、参加犬の評価を行うことで品種の向上を図る目的で行われています。
ドッグショーで優秀な犬としての評価を受けるためには、姿の美しさだけでなく、スタイル、歩き方、品位なども要求されます。しかし、審査員も人間なため、評価が好みに左右される危険性もあります。そこで、できるだけ公平な判断が下されるように、複数名の審査員によって審査されます。
審査はどのように行われる?
まず犬種ごとに10のグループに分け、審査を行います。
・第1グループ(牧羊犬・牧畜犬)…シープドッグ、コリー、コーギーなど
・第2グループ(使役犬)…シュナウザー、ブルドッグなど
・第3グループ(テリア)…ウェスティー、ヨーキーなど
・第4グループ…ダックス各種
・第5グループ(日本犬・スピッツ)…日本犬、ポメラニアンなど
・第6グループ(嗅覚ハウンド)…ビーグル、ダルメシアンなど
・第7グループ…ポインター、セター各種
・第8グループ(鳥猟犬)…レトリーバー、スパニエル各種
・第9グループ(愛玩犬)…チワワ、マルチーズ、プードル、シーズーなど
・第10グループ(視覚ハウンド)…アフガン、ボルゾイなど
それぞれのグループで1位になった犬たちがトーナメント方式で競い合い、「チャンピオンクラス」→「各犬種のBOB(ベストオブブリード)」→「各グループのBOG(ベストオブグループ)」の順に最も優秀な犬を決めていきます。ここまではオス・メス別分けて審査が行われます。
最終的に全ての参加犬の中からオス・メス一頭ずつ選ばれ、KINGとQUEENが決定します。KINGとQUEENに選ばれた犬のどちらが、行われたショーの中でのBIS(ベストインショー)となります。
審査のポイントは?
1,タイプ(犬種に特有な特色)
その犬種の特色がよく現れているかどうかを審査するものです。その犬種に求められている体型や性質など、基本的な特質を持っているかどうかを審査します。
2,クオリティ(犬種の特質の洗練さ)
タイプで表現された犬種の特色がより充実し、洗練されているかどうかを審査します。
3,コンディション(健康状態、精神状態)
ショー当日の体調、毛ヅヤ、肉付き、目の輝きなどの健康状態や精神状態を審査します。ショーに向けての調整が必要で、移動や会場の雰囲気に慣れていることも必要になります。
4,サウンドネス(健全さ)
精神的、肉体的な健全性を審査します。肉体的には、噛み合わせ、骨格、被毛などが視審(目で見ての審査)、触審(体を触ってみての審査)を交えながら評価されます。
精神的には、親しみのある性格や家庭犬としてふさわしいかどうかや、犬種として要求される性格(堂々としている、機敏であるなど)が、満たされているかどうかなどを評価されます。
5,バランス(全体の調和)
全体の調和を審査します。各部分の魅力が、全体のバランスを損なうことなく発揮されていることが必要とされます。ハンドラー(リードを持つ人)は長所をアピールし、短所をカバーして見せます。性格面と行動面の調和も必要とされます。
6,キャラクター(ひときわ輝く魅力)
ドッグショーの会場でほかの犬と歩くときでも、一際目立つような魅力のある犬のことをいいます。際立ってショーマナーが良いことなども評価の対象になります。
ドッグショーでは立ち姿だけでなく、用意された円形の会場を何周かして見せるので、美しい歩様やハンドラーとの調和も必要になります。
ドッグショーに出るとき、年齢は関係あるの?
ドッグショーでは年齢やクラスに分かれて審査が行われます。
・ベビークラス 4ヶ月1日~6ヶ月
・パピークラス 6ヶ月1日~9ヶ月
・ジュニアクラス 9ヶ月1日~15ヵ月
・ヤングクラス 15ヶ月1日~24ヵ月
・アダルトクラス 24ヶ月1日~
・チャンピオン タイトル獲得犬
ドッグショーはどのくらいの頻度で開催されるの?
ショーは全国で行われ、ほとんどが土日に開催されています。日程はJKCの公式サイトに書いてありますので、近場で開催される時は一度会場に足を運んでみるのもよいかもしれません。
ドッグショーの楽しみ方・注意点
ショーでは普段見ることのできない犬種や、犬種本来のカットを施された犬達がいます。普段から手入れされた犬たちはとても綺麗でカッコイイ姿をしています。カットの仕方には流行もあり、上手に手入れされたショードッグ達は普段のお手入れの参考になるかもしれません。
優勝する犬たちはマナーもよいものです。審査員に全身を大人しく触らせている姿、美しい歩様でハンドラーを見上げながら歩く姿は、しつけのお手本にもなりますね。
うちの子太りすぎ?といった疑問も、優秀とされるショードッグを参考にしてみましょう。
そのほかのドッグショーの楽しみ方として、自分の愛犬と同じ犬種からお気に入りの子や、同じ犬舎出身の犬を探してみるのもよいでしょう。「あ、あの子うちの子に似てる」と思ったら、実は親犬が一緒だった…などということがあるかもしれません。
なお、ドッグショーには愛犬を連れて行くこともできますが、ショードッグとは接触させないように注意しましょう。
様々なコンテスト(写真や絵のコンテストなど)を同時開催していることもあり、飼い主さん同士の交流を楽しめる場でもあります。
また、会場では色々な商品が売っています。犬用のグッズやシャンプーなどが特売されていることもあり、ショードッグ用のリードや頭につけるリボン、トリミング用の鋏など、ほかでは手に入りにくい商品も置いてあるので、お買い物目的で会場に行くのも楽しいものです。
日本で一番大きいドッグショーとは?
日本で一番大きなショーは東京ビッグサイドで行われている「FCIアジアインターナショナル」で、2日間にわたって行われます。
ほかにも全犬種クラブ展やクラブ連合会展、FCIインターナショナル、単犬種展など色々なショーがあります。
おわりに
ドッグショーへ足を運ぶと、普段見かけることのできない犬種と出会えたり、飼い主さん同士のコミュニケーションの場としても新鮮だと思います。今まで知らなかった世界が広がっているかもしれませんよ。
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