あなたは愛犬が自分のしっぽを追いかけるところを見たことはありませんか?
しっぽを追いかけてくるくると回る姿はかわいらしいですが、時には追いかけるだけでなく、噛んだり毛をむしったりすることもあります。
犬がしっぽを追いかけるのはどうしてなのでしょうか?
しっぽを追いかける理由
犬が自分のしっぽを追いかけてぐるぐると回る行動には、以下の要因があると考えられています。
1. ストレス
自分のしっぽを追いかける最も多い原因は、環境の不満からくるストレスだといわれています。飼い主さんに無視されたり、我慢しなければならない場面、また自分が嫌いなシャンプーの後や散歩後の足拭き時など、自分の思うようにならないときなどにしっぽを追いかけ回すことがあるようです。
2. 気晴らし
退屈な時の単なる気晴らしとして、遊びでしっぽを追いかけている場合もあります。特に子犬(子猫も同様です)の場合は、しっぽを自分の体の一部だとわかっていないことが多々あり、近くに遊び相手がいないとき、しっぽはおもしろいお遊びアイテムになるのです。
3. 不快感
落ち着かない様子でしっぽを追いかけている場合、不快感のサインであることもあります。しっぽの付け根や背中、性器、肛門周囲に炎症や痒みを感じていたり、また寄生虫や肛門嚢に疾患がある時も、それが気になってしっぽを追いかける行動をとることがあります。また、体にノミがいるときも痒みの不快感からそのような行動をとることがあります。
様子を見ていて大丈夫?
自分のしっぽを追いかけていると、さらに興奮がエスカレートしてしまうことも多いようです。しっぽに追いついてしっぽを噛んでしまうような場合は、毛がむしれたり、しっぽの皮膚がただれたりしてしまうこともあります。そうなると余計にしっぽが気になり、追いかけるだけでなく舐める、噛む、などの悪循環となります。
そのまま続けさせていると行動が強化されてしまうので、そのような場合は、何か別の興味を惹くものを用意し、他のことに気持ちを切り替えさせるとよいでしょう。
愛犬の行動を見直してみよう
しっぽを追いかけたり、同じ場所を行ったり来たりするような、ひとつの行動を繰り返して行うことを「常同行動(じょうどう行動)」と言います。自分のしっぽを追いかける行動には、先ほど紹介した3つの要因の他にもこの常同行動である場合があります。
犬が常同行動をとる理由は極めて単純です。自分のリーダーである飼い主さんから誉められるとその行動を繰り返しおこない、再び誉められようとします。例えそれがいけない行動だとしても飼い主さんに誉められたのだと思ってしまえば、同じように繰り返し、いけない行動を繰り返すのです。
しっぽを追いかける行動を「いけない」と言葉で注意しても犬には効果がありません。それどころか勘違いして「かまってもらえた」「自分に関心を寄せている」とさえ思ってしまうこともあります。日常、犬がとっている行動を見直してみると、飼い主さんに注目してもらいたいがためにしているものが多ことに気づかされます。「いけない」と叱る前に、どうしてそのような行動をとっているのか、もう一度原点に戻って考えてみましょう。
どうやってやめさせればいい?
まずはしっぽを追いかける行動を誉めないことです。誉めていないにしても、笑ったりその子の名前を呼んだりしながらその行動に注目をするのはやめましょう。前述のように、犬は自分が少しでも飼い主さんの注目の的になれば喜びます。そしてその行動を繰り返すことでもっと自分に注目してもらおうとするのです。
犬のいけない行動をやめさせるには、その行動を完全に“無視”することが大切です。犬はいけない行動をしばらく無視されると飽きてしまい、その行動をやめてしまいます。
また、ストレスからくるものであればどうしてそのようなストレスが起こったのかをよく考えてみることが大切です。例えば下記のようなことでもストレスになることがあります。
✔ 家の中の何か(ベッド、サークルの位置や家具の配置)を変えた
✔ 愛犬のお気に入りの遊び道具を捨てた
✔ 誰かが遊びに来た
✔ 近くで道路工事をしている
など、その子にとってストレスになってしまうような出来事はありませんでしたか?
もしそれが原因でしっぽを追いかける行動をしているのであれば、その原因をなくすことにより改善が期待できます。
さらに精神的なものが関係するのであれば、犬が安心して休める場所(クレートやケージなど)を作ってあげて、精神的にも安定させてあげることが効果的です。
なお、皮膚炎や寄生虫などが原因の場合は動物病院で治療をしないと徐々にその状態が悪化していく可能性もありますので、早めに相談してみましょう。
行動を理解しよう
犬は人間の言葉を話せない分、自分の意志や伝えたいことを行動でアピールします。あなたは愛犬が自分にとって不快と感じることをしたとき、むやみに怒っていませんか?飼い主さんが「不快」だと感じているということは、いくら怒られても犬は完璧に理解することはできません。反省や納得をすることはほとんどなく「飼い主さんはどうして怖い顔しているんだろう?」という「疑問」になるだけです。
また、それどころか「自分に注目してくれている」と喜んで、さらに悪いことを続けることさえあります。つまり、むやみに怒ることはまるで逆効果になってしまうこともあるのです。
犬にだってなぜそのような行動をとっているのか、必ず理由があるのです。怒る前にまずは犬が何を感じ何を求めているのか、よく考えてみましょう。
おわりに
犬が飼い主の気持ちを全て理解することが難しいのと同じように、愛するペットであってもその気持ちを全て理解してあげることは難しいです。だからこそ「なぜその行動をするんだろう?」と犬の気持ちを考えることが、言葉を超えた絆を作っていくのではないでしょうか。
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