わんちゃんのおっぱいの話

人やわんちゃんのようにお乳を飲ませて子供を育てる哺乳類にはおっぱいがあります。

ただし人と違いわんちゃんには複数ありますが、その理由はご存知でしょうか。

今回はその複数ある理由や代表的な病気などについて詳しくお話していきます。

わんちゃんを飼われている方は是非お腹を観察しながらこの記事を読んでみてください。


乳首の数

突然ですが問題です。

わんちゃんの乳首は全部でいくつあるでしょうか? 


正解は、わんちゃんによって数は様々です。

上は脇の下から下は足の付け根まで、縦に二列に並んでいます。

4対8個であることが多いですが、うちの子は10個以上あるという方もいるかもしれません。副乳頭と呼ばれる小さな乳首が、本当の乳首のすぐ横に見られることがよくあります。この副乳頭からは、赤ちゃんを産んでもお乳が出ることはありません。

また、逆にどんなに探しても6つしかないわんちゃんもいます。

おっぱいの数や配置もその子によって様々なので、左右の乳首の数が対称的ではなく右が4つあるのに左は3つしかない、という子も比較的よくみられます。異常だと思われるかもしれませんが、健康上は何の問題もないので特に心配することはありません。


男の子にもおっぱいはあるの?

男の子にも乳首はあります。毛を掻き分けてよく探してみましょう。小さいですが、女の子と同じように、左右二列に並んでいます。男の子の乳首からは、もちろんお乳は出ないため、通常は痕跡程度しかありませんが、まれにホルモンの異常により張っていることがあります。その場合には精巣の腫瘍の疑いがあるため、できるだけ早く、動物病院で検査をしてもらいましょう。


おっぱいの数が人と比べて多い理由

哺乳類は、1回の出産で産まれる子どもの数だけおっぱいの数があるといわれています。通常小型犬で3頭前後、大型犬で6頭前後の赤ちゃんを産むことが多いため、おっぱいが8個もあるのでしょう。

しかし、レトリーバーなどの子どもを多く産む犬種は時折、おっぱいの数以上の赤ちゃんを産むことがあります。ギネス記録では一度に24頭の赤ちゃんを産んだわんちゃんがいるそうです。そのような場合、お乳がすべての赤ちゃんに十分に与えられないため、人が子育てを手伝う必要があります。


お乳がでる場所

出産をして赤ちゃんにお乳を飲ませるようになると、おっぱいを吸う刺激によってお乳が出るようになり、乳腺(お乳をつくる分泌腺)がさらに発達していきます。そのため、よく吸われるおっぱいほど大きくなりますが、一般的には、足の付け根に近いほうがよく発達し、お乳もよく出る構造になっています。兄弟が多いとよくお乳が出るおっぱいの奪い合いになりますが、お乳をたくさん飲んでいる子の方が体は大きくなり、大きな子の方がよりお乳が出やすい場所を取り、さらに大きくなるようです。同じ日に生まれた兄弟でも大きさが違うことがあるのは、このような原因もあるのですね。


乳首はつながっている

わんちゃんの乳首は、見ただけでは想像できないかもしれませんが、実は皮膚の下で縦につながっています。左右に細長い乳腺が1対あり、その上に乳首があるという形態をしています。そのため、炎症が起きたり腫瘍ができたときは、その部分だけでなく、一列すべてのおっぱいに対して治療を行う必要があります。


おっぱいの病気

主なおっぱいの病気には「乳腺炎」と「乳腺腫瘍」があります。


乳腺炎

ホルモンバランスが崩れた時や子犬が乳離れをした直後などにみられ、おっぱいがぱんぱんに張って熱を持ち、強い痛みを伴う病気です。中でも偽妊娠(ぎにんしん)といって、発情後に妊娠をしていないのにホルモンの分泌が過剰になり乳腺が急激に発達した結果、おっぱいが細菌感染を起こし乳腺炎が起こりやすい状態になる場合もあります。

悪化すると破裂することもあるため、発情の度に偽妊娠をするようであれば、ホルモン治療や避妊手術を検討する必要があります。


乳腺腫瘍

中高齢の避妊手術をしていない雌犬に最もよくみられる腫瘍ですが、ごくまれに雄犬にもみられることがあります。乳腺の一部にしこりができ、それが腫瘍化します。そのままにしておくと他の臓器に転移してしまい、手術で取り除くことが出来なくなってしまいます。この腫瘍は半分の確率で悪性であるため、しこりを見つけたらできるだけ早く動物病院に連れて行きましょう。

原因として、ホルモンが関係していると考えられており、発情前に卵巣を切除する避妊手術を行うことによって、病気の発生率を下げることができるといわれています。



まとめ

人とは異なるわんちゃんのおっぱいの形態について、色々と知ることができたのではないでしょうか。普段あまり注目して見ることは少ないでしょうが、スキンシップをとりながら、数や形をチェックしてみても良いかもしれませんね。