心臓は私たちにとって最も重要な臓器のひとつです。
毎日休まず機能しているからこそ、必要以上に負担をかけてしまったり年齢を重ねることで心臓病のリスクも高まります。
今回は心臓病の中でもよく耳にする心不全という病気についてお話します。
この記事を読んで、生涯一緒に過ごしていく家族のために、早期発見が重要な心不全について是非考えてみてください。
心不全とは
「不全」は「完全ではない」という意味の熟語で、この場合は「働きが100%ではない」という考え方をすると分かりやすいと思います。
例えば、生まれつき心臓のどこかに穴が開いていたり、心臓の壁が薄かったり、または年齢を重ねるうちに心臓が血液を送り出す力が弱まってしまったり、心臓の中の扉(弁)がぴったり閉まらなくなってしまった状態のことを「心不全」と呼びます。
例に挙げた状態にはそれぞれ病名がつけられていますが、心臓の調子が完全ではないことをまとめて「心不全」といいます。
心不全の仕組み
心臓は、血液を送り出すポンプです。その心臓が100%の状態で働くことができなければ、血液が体の隅々まで行き渡らずに、体に不具合が生じてしまいます。
ほんの少し働きが悪いだけなら、立ちくらみやのぼせ程度で済みますが、症状が重くなれば動くこと自体や内臓の働きに支障をきたし、最悪の場合死に至るケースもあります。
血液が十分に通っていないということは、少なくとも酸素が足りていないということなので、舌が紫になってしまったり、疲れやすくなってしまいます。また、一度息がきれてしまうと、なかなか元の状態に戻らなくなることもあります。
犬の心不全
心不全は年齢を重ねた犬に多く発症する病気です。年齢を重ね、心臓を多く動かしている分、若い犬に比べて働きは衰えています。
特によく吠えたり、いつも走り回っていたり、お散歩でぐいぐい引っ張って歩くような、心臓をたくさん動かしている犬であれば、劣化のスピードは速く、生活習慣を変えなければますます悪化してしまいます。
心不全の発見方法
最も発見しやすい症状は「咳」です。特に早朝、寝起きで血圧が急に上がる時、喉の奥に何かが引っかかってしまったような「空咳(からせき)」が見られた場合、心不全の初期症状である可能性があります。特に5歳以上の犬は、その可能性が高いです。
不安に思ったら、散歩の量を減らしたり、ボール投げや遠出を控えるなど普段より運動量を抑え、出来るだけ早く動物病院で受診しましょう。
心不全は“完治しない”
心臓は「治らない臓器」なので、心不全を治すことはできません。
しかし、上手に病気と付き合い適した生活を送ることで、症状を減らすことや悪化を防ぐことはできます。
何よりも、若い頃からの生活に注意することで、心臓を大切にして発症を遅らせることができるのです。
予防
生まれつきの心臓の強さも素因となるため、絶対に心不全にならないという方法はありません。しかし、心臓をなるべく動かさなければ、劣化のスピードを遅くすることはできるので、無駄吠えをしない、散歩で引っ張らない、家族が帰宅しても足元にまとわりつかない、飼い主さんにくっついて歩き回らないなど、心臓に負担をかけないような生活を送るよう習慣づけましょう。
まとめ
空咳などの心不全が疑われる症状が出ていなくても、予防接種やフィラリア検査などで受診するときには、心臓の音を聴診してもらいましょう。初期の段階では、症状はありませんが、聴診すると心臓にほんの少し雑音が聞こえることがあります。この雑音が心不全の証拠になるのです。
早く発見することができれば、早く対策を練って行動に移すことができ、その分悪化を遅らせることができます。
「心不全です」と診断されても、「もう長くないのね」と悲しまず、これ以上悪くならない方法をかかりつけの獣医師とよく相談しましょう。
長生きしてほしいのはもちろんですが、ただ長く生きるだけではなく「健康で」いてもらうことが大前提です。愛犬の健康は飼い主さんの認識と行動に左右されることを、心に留めておきましょう。
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