犬は散歩をする時、一般的には裸足で外を歩いています。散歩から帰ってきて家に上げる前、濡らしたタオルで足を拭いてあげる人、シャワーで足を洗ってあげる人、飼い主さんによってその方法は分かれますが、足の裏を綺麗に保つためにはどのような方法がよいのでしょうか。
足の裏の仕組み
犬は、体の皮膚には汗腺がなく、肉球のみに汗腺が存在しています。肉球が汗をかくことにより、肉球の弾力性の維持や滑り止めの役割がありますが、湿っていることによって汚れがつきやすくなることもあります。そのため、散歩から帰ってきてそのまま家にあげると、フローリングに足跡がついてしまうのです。
足をきれいにするのは室内を汚さないようにするためだけではなく、犬の皮膚を健康に保つためにもとても重要なことです。肉球の周囲を汚れたままにしておくと、適度な湿度と温度が保たれた指の部分に細菌が増殖してしまい、傷やアレルギーなどが原因で皮膚のバリア機能が弱くなった箇所に感染して、炎症を起こすことがあります。
そうすると痒みと痛さから犬は指を舐めるようになり、湿った皮膚でさらに細菌が増殖して炎症はさらに悪化し、皮膚炎を起こしてしまいます。
犬に起こる皮膚炎
指間炎
犬の短い指の間の部分に皮膚炎が起きている状態を指間炎(しかんえん)といいます。指間炎は皮膚のほんの一部の炎症のため、大したことはないと思われるかもしれません。しかし、痒くて舐めることを繰り返す間に、皮膚は真っ赤に腫れて膿が出るようになり、毛が抜けてきてしまいます。また、痛みが酷いと足を地面について歩くことができなくなってしまいます。一度なってしまった指間炎は治すことが難しく、完治には長い時間がかかります。
爪周囲炎
指間炎の原因となる細菌が、爪の根元の皮膚におよぶとその治療はさらに困難なものとなります。爪の根元の内側には外用薬は届かないため、なかなか治らない場合は飲み薬による治療を行ったり、全身麻酔による手術で感染部位を切開しなければならないこともあります。
足を清潔に保つ方法
飼い主さんによっては、散歩から帰ってくるたびにシャンプーでよく洗ってタオルで拭いてから家にあげている方もいるようですが、シャンプーで洗う頻度が高いと皮膚の表面にある皮脂バリアを取り除いてしまい、カサカサした炎症を起こしやすい皮膚になってしまうこともあります。そのため、散歩から帰ってきた後は濡れたタオルで拭くだけでよいでしょう。汚れが落としきれなかった場合は、薄く希釈したシャンプー液を作ってその中に浸して洗うだけでも十分です。
乾燥
乾いたタオルで拭くだけでは指の間の湿り気は取れないため、低温のドライヤーでしっかりと指の間を広げながら乾かす必要があります。しかし、毎日ドライヤーをするのが大変だという方は、よく絞った濡れタオルで指の間まで丁寧に拭いて、そのあと乾いたタオルでもう一度よく拭いてあげるとよいでしょう。その時に、皮膚や肉球に赤くなったり傷がついている場所はないか、爪が割れたりしていないかをよく確認しましょう。
もし肉球がカサカサしてひび割れているようなら、獣医師に相談して肉球専用のクリームを塗ってあげるとよいでしょう。
足裏カット
湿気がこもったり汚れがつきにくくなるように、足裏の余分な毛は常に短くカットしておきます。犬種によっては常に伸び続けて、気がついたら肉球を覆っていたということもあるので、定期的にチェックをすることが大切です。足裏カットが難しいという飼い主さんは、トリミングサロンでシャンプーと一緒にお願いしてもよいでしょう。
犬の指は人間でいうグーの状態に近いため、一度指の間が湿ってしまうとなかなか乾燥しません。そのため、足を洗った後などはしっかりと乾かしてあげることが大切です。特に、アレルギー体質で皮膚が弱い犬や、高齢になって感染症を起こしやすい犬は、日頃から皮膚の状態をチェックして異変があれば獣医師に診てもらいましょう。
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