消毒剤の使い方で衛生対策を万全に

梅雨から夏の時期は気温も湿度も高く、ばい菌が繁殖しやすい季節です。食中毒や皮膚炎など、微生物の感染が原因となる病気も発生しやすく、ペットの健康のためには正しい衛生対策を行うことがとても大切です。今回は正しい感染防止方法、効果的な消毒剤の使い方について学んでいきましょう。


病原体となる微生物

一口にばい菌といっても、その種類はさまざまで、特に食中毒や皮膚炎などの病気を引き起こすばい菌は主にウイルス、細菌、真菌に分けられます。

ウイルスは細菌よりもずっと小さく、生きた細胞の中でしか増殖することができません。インフルエンザウイルスやノロウイルスなどが有名ですね。細菌は大腸菌やブドウ球菌などに代表される単細胞生物で、真菌とはいわゆる「カビ」の仲間のことを指します。

それぞれさらに何十種類にも分かれ、細菌の中にもさまざまな形態や性質を持つものがあり、消毒剤に対しても効果があるものとないもの(耐性があるもの)があります。


消毒と殺菌

消毒とは、正しく言うと生体に害を成す微生物を殺すこと、または無毒化することを指し、すべての微生物を殺してしまうことではありません。ばい菌を防ぐための用語にはさらにいろいろあるので、正確に知っておきましょう。


【除菌】ばい菌を洗い流したりして物理的に取り除くこと。

【滅菌】すべての微生物を殺すか取り除いて、まったくの無菌状態にすること。

【殺菌】ばい菌を殺すこと。

【抗菌】ばい菌が増殖するのを妨げること。殺すだけでなく、静菌といって生きてはいるが増殖ができない状態も指します。


それでは次にご家庭で使用するいろいろな消毒剤について、その特徴を調べてみましょう。

【アルコール】

薬局で消毒用エタノールとして売られています。無水アルコールと呼ばれる濃度100%のものよりも80%のもののほうが消毒効果が高く、ほとんどのばい菌に対して効果がみられますが、一部の細菌やウイルスには効果がなく、真菌を殺菌するのにもやや時間がかかります。生体だけでなく周囲の器具などにも使用することができますが、蒸発しやすく皮膚への刺激がやや強いという欠点があります。

【クレゾール】

クレゾール石鹸として売られ、とくに排泄物の消毒に効果を示しますが、独特の臭気があり、高濃度では皮膚に対する刺激が非常に強いため、生体の周りには使えません。ウイルスや一部の細菌には効果がなく、今ではあまり使われていないようです。

【塩素系漂白剤】

塩素系のキッチン漂白剤の中には次亜塩素酸と呼ばれる成分が含まれており、ほとんどの細菌やウイルスに対して有効です。食器やふきんなどの消毒を行うのに適しています。しかし金属を腐食させる作用があり、またほかの洗剤などと一緒に使うと有毒な塩素ガスを発生させるために使用には注意が必要です。

【逆性石鹸】

石鹸といいながら、その洗浄作用はあまり強くありませんが、多くの細菌や一部の真菌・ウイルスに殺菌作用があり、その効果が持続します。通常の石鹸や有機物と一緒になると殺菌効果が薄れてしまうので、汚れた場所では使うことができません。主に床や壁などの消毒に使われます。また、最近はアルコールと混ぜてすりこみ式手指消毒剤として売られていることも多いようです。


その他の消毒法

【熱湯消毒】

ほとんどのばい菌は熱に弱く、沸騰した熱湯をかければ殺菌をすることができます。金属製の食器や調理器具などは、お湯で定期的に煮沸すればほとんどのばい菌は死滅します。ただし、ポットや湯沸し器のお湯は沸騰していないため、やや殺菌作用が弱いので、沸騰したお湯を使用しましょう。

【日光消毒】

日光の中に含まれる紫外線は殺菌作用がありますが、表面にしか作用しません。日光消毒の主な目的は乾燥による消毒作用です。大腸菌など多くの細菌は乾燥に弱く、水分がないと死滅します。


まとめ

これらのことから、ばい菌からペットを守るには、様々なばい菌や消毒対象によって消毒の方法を変える必要があります。

● 食器、調理器具、おもちゃなどペットが口にするものはなるべくこまめに洗い、熱湯や消毒剤を使って消毒を行う。

● トイレなどは汚物を取り除いた後に消毒剤を使う。また、こまめに洗う。

● 壁や床なども消毒剤を使ってこまめに拭き掃除をする。

●  敷布、クッション、ぬいぐるみなどペットの肌に触れるものは、十分に天日干しにする。


過度に神経質になって除菌を行う必要はありませんが、身の回りを清潔に保つことは健康にもつながります。効果的な消毒方法で、ペットの健康を守りましょう。