ドラッグストアのサプリメント売り場には、数々のビタミン剤が売られていますし、ペットフードにもビタミン強化を売りにしているものがあります。このようにビタミンは、人やペットの健康にとってとても大切なものであることはすでにご存知だと思います。
でも一口にビタミンといっても多くの種類や役割があり、単にたくさん摂ればいいというものでもありません。中には多く摂りすぎると病気を引き起こすものもあります。
今回はそんなビタミンについてお話をします。
そもそも、ビタミンとは?
私たち人やペットは物を食べて栄養を取り入れなければ生きていくことができません。外から取り入れなければいけない栄養には、たんぱく質、炭水化物、脂肪、ミネラル、ビタミンがあり、これらを5大栄養素と呼んでいます。しかし、他の4つの栄養素と異なり、ビタミンだけは生きていく上でのエネルギーや体を作る元にはなりません。ビタミンは、食べ物の中にほんの微量ずつしか存在せず、必要量もごく微量ですが、生体内の代謝や調節として使われる物質です。
ビタミンは、自分の体内で作ることができない物質のことをいいますが、動物の種類によって物質の代謝方法が若干異なるため、人と犬と猫では、摂取が必要なビタミンが異なります。たとえば、ビタミンCと呼ばれるアスコルビン酸は人にとってはビタミンですが、犬や猫は体内で作り出すことができるため、厳密にはビタミンではないのです。
ビタミンの種類
ビタミンは、油に溶けやすい脂溶性と、水に溶けやすい水溶性に分けられます。代表的なものとして脂溶性のビタミンにはA、D、Eがあり、水溶性にはB群、ナイアシン、などがあります。水溶性のビタミンは過剰に摂取しても尿中に排泄されてしまいますが、脂溶性は体内の脂肪に蓄積し過剰症となることもあるため、注意が必要です。
次にそれぞれのビタミンについて説明をします。
●ビタミンA
ビタミンAは視力の調節に作用したり、粘膜や皮膚を正常に保つ役割があります。人はニンジンなどの野菜の色素であるカロチンを摂取し、体内でビタミンAとすることができますが、猫はカロチンをビタミンAにすることができないため、魚や肉などから直接ビタミンAを摂取しないと欠乏症になってしまいます。しかし、必要以上に摂取すると、今度は脊椎が変形してしまうビタミンA過剰症になってしまうことがあり、注意が必要です。
●ビタミンD
カルシウムの吸収を助けているビタミンです。成長期に欠乏すると骨が変形するクル病になるおそれがあります。一方で、サプリメントなどで過剰摂取すると今度は血中のカルシウム値が上昇し、腎臓や神経、骨に異常をきたすことがあるので注意が必要です。
●ビタミンE
生体内の酸化を防ぐ作用を持つビタミンです。特に猫で生のマグロや青魚ばかり食べている子で、不飽和脂肪酸が蓄積して黄色脂肪症という全身の筋肉に痛みが生じる病気になってしまった場合に、治療薬として使われます。
ビタミンB群
●ビタミンB1(チアミン)
激しい運動や消耗性疾患のときなど、エネルギーを作るときに使われ、欠乏すると食欲不振や神経麻痺を起こします。
・ビタミンB2(リボフラミン)
乳製品やレバー、卵などに多く含まれています。欠乏すると皮膚炎や口内炎、白内障などを引き起こします。
・ビタミンB6(ピリドキシン)
たんぱく質の代謝に関与しています。欠乏すると皮膚炎や口内炎、子犬の場合には成長不良が認められます。
・ビタミンB12(シアノコバラミン)
神経の機能維持や赤血球を形成するのに必要です。欠乏すると貧血、脱毛、胃炎などをひきおこします。
ナイアシン
ナイアシンは通常肉の中に入っているため、犬や猫が欠乏症になることは稀ですが、野菜ばかりの手作り食を与えつづけた場合に口内炎や皮膚病をひきおこし、猫の場合には命の危険を伴うこともあります。
まとめ
ビタミンは、ほんの微量でも体内で重要な役割を担っています。いまはペットフードの品質も向上しているため、総合栄養食の認可を受けたフードを毎回正しい分量食べている分にはビタミンの病気になることはまずありません。
しかし、不完全な知識の元で手作り食のみを与え続けたり、不必要なサプリメントを与えたり、ペットが極端な偏食をすると、ビタミン欠乏症や過剰症になることがあります。ビタミンを含む栄養はすべてバランスよくとることが一番大切です。
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