最近では人の医療ばかりでなく、ペットの分野でも「ホリスティック獣医療」という言葉が聞かれるようになりました。しかし、「体に良さそうなイメージはあるけど、よくわからない」という人も多いのではないでしょうか。今回は注目度が高まっているホリスティック獣医療とはどのようなものか、またどのように行われているのかをお話をしていきたいと思います。
ホリスティック獣医療とは
ホリスティックという言葉は、もともとギリシャ語の「全体」を意味する「ホロス」という言葉が語源となっています。体のどこかが不調になったとき、悪くなった場所だけを治療するのではなく、心も含めた体全体のバランスを見て治療を行っていくといった考え方に基づいています。また、ライフステージやライフスタイルなどの環境全体も考えながら、その中で病気にならないように体や心のバランスを整えていく、大きな意味での全体を見据える考え方でもあります。
ホリスティック獣医療では、病気を治すのはあくまでペット自身の自然治癒力によるもので、外からそれを手伝ってあげるのが治療の基本となります。
ホリスティック獣医療の例
例えば、今ペットにも増えている「アレルギー性皮膚炎」を例にあげましょう。通常の医学であれば、抗アレルギー剤の飲み薬を使ったり、痒み止めの塗り薬をつけたりして皮膚炎の治療を行います。ホリスティック獣医療では、ペット自身にアレルギーになってしまった原因を治していくように導いていくことを目指します。食事療法による体質改善や毒素排泄、ハーブによる免疫力向上、アロマによる痒みのストレスの軽減などを行います。
いろいろなホリスティック獣医療
一口にホリスティック獣医療といっても、その方法はさまざまです。
【食事療法】
ペットに必要な栄養を満たしつつ自然治癒力を引き出し、体内の毒素を排泄させるような食事を食べさせます。オーガニック素材や無添加であることにこだわり、なるべく体内に毒となりそうなものは入れないようにして、体の調子を整えていきます。
【マッサージ】
どんなペットもやさしく体をなでてもらえば、心が落ち着くだけでなく、血行もよくなり健康につながってきます。これに筋肉をほぐすような動きを加えたり、ツボを刺激して「気の流れ」を意識するようにするとマッサージになります。
【アロマテラピー】
植物芳香療法ともいわれます。植物から抽出されたエキスを含んだオイル(エッセンシャルオイル)の香りを嗅いだり、皮膚から吸収させることによって自然治癒力を高めたり、心の安定をはかるものです。エッセンシャルオイルは何十種類もあり、それぞれ効果のある症状が異なります。中には刺激や毒性が強くペットには禁忌とされている精油もあるため、しっかりとした知識をもって行うことが大切です。
【東洋医学】
そもそも東洋医学とは、ホリスティックの考えを元にしているため、私たちに馴染みの深い鍼やお灸、漢方薬もホリスティック獣医療の一つです。
【通常の獣医療とホリスティック獣医療】
ホリスティック獣医療は通常の獣医療とは考え方が異なる治療法ですが、決して動物病院での治療法を否定するものではありません。通常の獣医療と平行して行うこともできるため、薬の副作用を押さえたり、薬の量を減らす目的で行われることもあります。また今の獣医学では治すことのできない病気のときに、少しでもペットの状態を楽にさせてあげたり、心の病気を治す方法として用いられることも多くあります。どちらがよいというわけではなく、ペットにとってどちらが適切な方法かを選んでいくのが良いと思います。
ホリスティック獣医療は誰でもできる?
ホリスティック獣医療は、特別な薬を使わずにペットを健康に導くことのできる方法です。普段から食事などに気をつけている方は、特に特別なこととは思わないかもしれません。しかし、マッサージやアロマテラピーなども深い理論の元に培われた技術で、それぞれ認定を受けた専門の人も存在します。また、先ほども書いたように禁忌となる場合もあるので、もし、自分でもペットにホリスティック獣医療を施したければ、専門の先生とよく相談して、正しい知識を得てから行うようにしましょう。
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